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狂うひと [本]

「狂うひと」 梯久美子



ついに読み終えました。
梯さんの文章はとても明晰で無駄がなく読みやすいので、読んでいて疲れるということはないのですが、内容の濃密さと本の厚みとでやはり時間がかかりました。

私は「死の棘」を含めて島尾敏雄作品は一切読んだことがなく、この夫婦のこともまったく知らずに本書を読みました。
「死の棘」そのものや評論などを知ったうえで読んだ方がもしかしたら驚きが大きいのかもしれませんが、何の予備知識もなく読んでも十分に面白いし、知らないからこそ味わえる面白さもあると思う。

なんともすさまじい数十年におよぶ夫婦の世界。
あらゆることを記録せずにはいられない夫と、それを読み、保管し続けた妻。
そしてその膨大な資料を詳細につき合わせて事実を確認していく梯さん。
夫婦の関係もすさまじいが、取材する梯さんの執念のようなものもまたすごい。
本書に書き上げた文章だけでなく、その背後にある圧倒的な取材量に驚嘆せずにはいられない。

読売新聞の記事か何かで、梯さんが「独身の自分に夫婦を描けるのか、という迷いがあった」と語っていたが、むしろだからこそ、自分の夫婦関係を投影することなく、この二人を書けたのではないかと思う。

梯さんの執念の取材ぶりは、まるで魔に魅入られたようにこの夫婦、特にミホに魅了されてしまったように思える。
異様でありながら、どうしても引き込まれずにいられない不思議な魅力のあった人なのだろう。
まあしかし、私の身の周りに実際こういう人がいたら、ちょっと不気味で近寄りがたいだろうなぁ、と思ってしまうのでした。


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ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム2017 [自転車ロードレース]

去年は割とあっさり前夜祭に当たったような気がするのですが、今年は仲間も含めて軒並み落選したので、前日入りはしませんでした。

当日朝、さいたま新都心駅を出て集合場所へ向かおうとしたところでいきなりアイゼルさんに遭遇!
遠くからでも明らかにオーラを放つ色男ぶりに女性が数人吸い寄せられていくのを見て私も接近。
「あなたの方が腕が長いから」
と言ってスマホを渡したら、こころよくセルフィ―を撮ってくれました。
しかも私はうっかり内側カメラに切り替えるのを忘れていたのですが、アイゼルさん自ら切り替えてくれた。
優しい。。。
おかげで、まるで彼氏とセルフィー2ショットを撮ったようなラブリーな写真が撮れてニヤニヤ。
「オーストリア人の彼氏ができました☆」と友達に見せたら一瞬信じそうな絵面です。
ニンマリ。
めちゃくちゃハンサムでした。

レースの方は中盤でフルーム、ヴァンアーベルマート、バルギル、ウランという、「打合せしたんでしょ」と思わずにはいられない面子の逃げができて大盛り上がり。
集団ではキッテルとカヴェンディッシュが最終スプリントに備えて虎視眈々といった感じで、本当に豪華なレースでした。

オープニング走行では、年甲斐もなく黄色い声で選手の名前を呼ぶと、手を振ってくれたりニッコリしてくれたりするのが嬉しかったなぁ。
この選手との距離の近さが自転車ロードレースの魅力だよなぁ。

レース終了後はいつもの店でいつものように仲間と飲んで帰りました。
大満足。


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「人とこの世界」の島尾敏雄 [本]

ようやくここまで来ました。

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あと2章くらい。
読み始めればズンズン読み進めてしまうのだけれど、机の前じゃないと読めないのがねぇ……。

この中に開高健の「人とこの世界」(ブログ記事へ)からの引用があって、そういや昔読んだなぁ、と本棚から引っ張り出してみた。

当時の私は島尾敏雄なんて聞いたこともなかったし、まったく記憶に残っていない。
改めて読んでみたけど、島尾作品とか、妻との関係とか、そういうものを知ったうえで読まないと何が何やらという感じで、こりゃー記憶に残らないわけだわ。

他の章もほとんど覚えていないのだけれど、当時の私が書いた読書日記には「作家もインテリもクズである」という一文があり、それがどうやら当時の私のまとめらしい、と推察するのである。



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古代アンデス文明展 [美術館/博物館]

運慶展の帰りに国立科学博物館の「古代アンデス文明展」に寄ってみました。

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一部を除いて写真撮影OKというのは私にとっては新鮮です。

気になったものをいくつか。

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「リャマの背に乗る男をかたどった土器」というタイトルですが、乗るっていうか、なんて言うか……。


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ニャーが背中からおぶさっています。
ニャー。


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「死んだ男性と生きている女性の性行為を描写した鐙型注口土器」だそうで、なかなかのエログロナンセンスなコンセプトです。


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ニャー大集合。
「ネコ科動物をかたどった多彩色土製香炉」


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水筒型壺だそうです。
昭和の子供が持っていた丸い水筒を思い出します。


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黄金の胸飾り!


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「木製の葬送行列のミニチュア模型」
ちょっと欲しくなります。


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「木製のミニチュア建築物模型」
中に小さなお人形がいます。
シルバニアファミリーのにおいがします。


最後のミイラがいる展示室は撮影禁止。
使者に対する敬意でしょうか。
ミイラとなった自分の身体が何百年も後のはるか遠い国で展示されているというのはどういう気分でしょうなぁ。
死者に意識などないって?
いいえ、アンデス文明の人々は死者とともに生きていたのですよ。


出土品の数々もこれはこれで興味深いのですが、私にとって中南米古代文明の魅力はなんといっても大自然の中に突如現れる壮大な遺跡群でして、いつかその場に立って土地のエネルギーを感じてみたいと思うのです。
しかし飛行機苦手な私にはなかなかハードルの高い旅行である。



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運慶展 [美術館/博物館]

雨の中、東京国立博物館の「運慶」展に行ってきました。

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この雨だもの、きっと人出が少ないはず……という読みは甘く、雨だけど人がいっぱい。
あとで科博の窓口のお姉さんに聞いたら、天気が悪くても土日の方が平日より人が多いそうです。
ひとつ学習しました。

幸い、小品は少ないので人が多くてもそれなりにみられる。

以下、気になったものをご紹介。

「法相六祖坐像」
神叡は己に厳しそうな端正な顔の青年僧。
善珠はじろっと左を見ている表情が印象的。
行賀の坊主頭に浮き出る血管がリアル。

光得寺「大日如来坐像」
厨子に収まった小さな仏様で、足元の獅子や背後の天部が可愛い。

「八大童子立像」
おなじみ、運慶の代表作のひとつ。
オレンジの壁に囲まれたエリアでガラスケースに収まった姿はまるで高級ブティックのディスプレイのよう。
面白い展示の仕方です。
可愛らしい像あり、童子というには老け顔あり。
恵喜童子の丸いキャップはなかなかモードな感じ。

興福寺南円堂「四天王立像」
いずれも素晴らしいですが、なかでもひときわ迫力あるのが持国天。
お顔の表層の一部が剥落しているのが、まるで返り血を浴びたようにも見えて凄みを増しています。
正面からでは分からないのだけれど、右袖のひるがえりがダイナミック。
是非向かって左手からも鑑賞して欲しい。
多聞天は左手に捧げ持った宝塔を見上げるポーズが珍しい。

東福寺「多聞天立像」
つるっとした子供のような顔と変な兜が見どころです。

海住山寺「四天王立像」
体長30センチほどの小さなお姿ですが、とても精巧にできています。
なにより彩色が鮮やかに残っているのが素晴らしい。
四天王それぞれの本来のお顔の色がはっきりとわかります。
持国天:緑、増長天:赤、広目天:白、多聞天:青
(一般的には持国天:青、増長天:赤、広目天:白、多聞天:黒、らしいですが)

「毘沙門天立像、吉祥天立像、善膩師童子立像」
原始仏教が「女子供への執着を捨てよ」と説いている中で、どこ吹く風と一家団欒を見せつける毘沙門天ファミリー。
童子の顔がいかにも「日本人の子供」の顔でなごみます。

高山寺「子犬」
明恵上人が愛でたという例のアレですね。
検証の結果、向かって右から見た姿が一番可愛いことが判明しました。
まあ個人の好みですが。

「千手観音菩薩坐像三十三身像のうち執金剛神」
右手を振り上げ、左手で左足を持つというダイナミックかつ斬新なポーズ。
難しそう、と真似してみたら意外と簡単だった。

「十二神将像」
風になびいたようなシャープな髪型がイカしてるヘビさん。
思案気なお顔が可愛いウシさん。
腕をつっぱって精悍なポーズのヒツジさん。
なにやらやる気に溢れているトリさん。
遠くを眺めるイヌさん。
眼をすがめて矢じりを確かめるイノシシさん。
今回のベストオブ十二神将はイノシシさんに決定。

悩みに悩んで結局図録は買いませんでしたが、返り血を浴びた(?)持国天のカッコイイA4ポスターがあったので買って帰りました。



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ジャパンカップ2017 [自転車ロードレース]

行ってきましたよ、雨の中。
それなりに楽しいこともあったし、新しい友達ができたりして、行ってよかったとも思うのですが、全体的な印象としては無理して行かなくてもよかったな、という感じで、詳細を書くと愚痴ばかりの記事になってしまいそうなのでやめます。

概要だけ書いておきます。

20日(金) ジャパンカップトレインで宇都宮入り。チームプレゼンテーションを観る。
21日(土) 雨の中、クリテリウム観戦。
22日(日) 雨の中、古賀志で観戦。夜、某チームのパーティに参加。
23日(月) 台風の影響で、ホテルチェックアウト後、5時間かけて自宅に帰る。

義理とか付き合いよりも、自分の情熱の有無を大事にすべきだと思いました。


あ、そうそう。
選手たちはサイン攻めにあって、もうペンを見るのも嫌だ、という状態になっている、という話がいたたまれなかったです。
サインより写真の方が負担が少ないんですかねぇ?
写真の方が時間かかるけどね。

蘇れ、私の情熱!

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ただいまの読書 [本]

古典音読プロジェクトで現在グルグル回しているのは以下の三冊。

老子・荘子
孫子・三十六計
万葉集

いずれも角川ビギナーズクラシックスシリーズ。
ようやく半分過ぎたくらいかな。

集中的に読もうと試みているのは「狂うひと」なんだけど、なんせこの厚み。

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寝床の中で横になりながらパラパラと、というわけにもいかず、机に向かって読むしかないので、読み始めるのにそれなりの覚悟がいる。

読み始めてしまえば面白いのでどんどん進むのだけれど、なんせこの厚み。
読んでも読んでも、まだ半分も行かない。

しかしさすがの梯さん。やはりとても読みやすい。
例えば「島尾のこの作品っていつ発表されたものだったかな?」と読者が思うタイミングでちゃんと解説が入る。
この大著を飽きさせないで読ませる工夫が随所に見られます。

まだまだ先は長いです。


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十月国立劇場 [歌舞伎]

久しぶりに国立劇場へ行きました。
そして本当に久しぶりに古典歌舞伎を観ました。

「霊験亀山鉾」

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仁左衛門の色悪だもの!
滅多に上演されない演目だもの!

私怨のため一人の侍を闇討ちにした男が、仇討ちに来た者たちを卑怯な手を使ってことごとく返り討ちにするという結構すごい話。
鶴屋南北だし、さぞやグロかろうと期待していたけれど、意外と地味だった。

仁左衛門さんの色悪ぶりはさすがに見事であった。
黒羽二重の着流しが似合うんだよなぁ。

錦之助さん演じる源之丞は「人も羨むイイ男」らしいんだけど、子供まで産ませた女を「隠れ妻」のままにしておいたり、仇討ちのために潜入した先で芸者の女と懇ろになりやっぱり孕ませたりと、意外とチャラい。
そしてまんまとだまし討ちに遭う。
顔以外は大してイイ男には思えないがいかがでしょうか。

本水が降り注ぐ中、男と女が髪を振り乱しての立ち回りは異様な迫力と暗い美しさがあってよかった。
その後の、女同士の立ち回りもあんまりお目にかからない感じで面白かった。
それにしても芸者おつま、ただの芸者とは思えない強さだったねぇ!

仁左衛門さんは藤田水右衛門と八兵衛の二役でしたが、顔が似ているけど違う人間なのか、別人物の振りをしている同一人物なのか、どっちなんだろうと迷うところがあって、ちょっとわかりにくかった。

帰りはぜったいラーメン食べて帰ろう、と心に決めていたのですが、電車の都合で断念。
それだけが心残りです。
あー、ラーメン食べたい。



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この世界の片隅に [映画]

​「この世界の片隅に」



なんかやたら評価が高いので期待して観たのですが、残念ながら私の心の分厚い壁を突破するものではありませんでした。

全体的な雰囲気や柔らかい作画はとてもいい。ほっこりします。
でも主人公のすずちゃんが私には合わないタイプだったんだよなぁ。

表情がすごく可愛くて、おっとりしたとてもいい子。
ただ、これ見よがしのドジっ子エピソードがあざとすぎて私にはイラっとくる。
小柄で色白で童顔で口許にちょっと色っぽいホクロがあって、けなげで純粋でぼんやりしていて「俺が守ってやらなきゃ」って思わせる天然ちゃん。
あー、男の人好きだよねー、こういう女の子。

のんの声は棒読みと言えば棒読みだし、なーんも考えてなさそうな主人公に合っていると言えば合っている。
賛否両論なのはとても納得。

戦時中の呉市を主な舞台とした作品なので色々と痛々しい出来事も起こるのですが、基本的にみんないい人で、すずちゃんは本当に純真で可愛くて、鬱屈を抱えすぎてひねくれた私には終始居心地の悪い映画であった。

レビュー見ると★5つの絶賛の嵐なんだよねぇ。
みんなと一緒に感動できないことに孤独を強くしました。


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機動警察パトレイバー 劇場版 [映画]

イングラムのデッキアップを見たらパトレイバーをまた読みたくなったんだけど、数年前に処分してしまったので、劇場版アニメを観ることにした。



押井守監督ですが、他の作品に比べると押井臭は控えめ。
でもガードロボットの動きは完全にあれだ、攻殻機動隊のタチコマだ。

原作で一番好きだったのは整備班長の榊のオヤジさん。
映画版も渋くてかっこいいぞぉ。

後藤隊長は相変わらずいい味出してます。
こういう、のらりくらりなオッサンだけど実は切れ者っていうキャラクター、たまんないよね。

そして南雲隊長の声はクシャナ殿下と同じだぁ。
この人もやっぱり優秀な女性指揮官で、女を前面に出すことはないけれど美人でどことなく色気がある。
かっこいい~~。

もう一度原作を読みたい気もするし、テレビアニメシリーズとかOVAシリーズとかも観てみたい気がするけれど、とりあえず蒼天航路を片付けてからにします……


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