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この世界の片隅に [映画]

​「この世界の片隅に」



なんかやたら評価が高いので期待して観たのですが、残念ながら私の心の分厚い壁を突破するものではありませんでした。

全体的な雰囲気や柔らかい作画はとてもいい。ほっこりします。
でも主人公のすずちゃんが私には合わないタイプだったんだよなぁ。

表情がすごく可愛くて、おっとりしたとてもいい子。
ただ、これ見よがしのドジっ子エピソードがあざとすぎて私にはイラっとくる。
小柄で色白で童顔で口許にちょっと色っぽいホクロがあって、けなげで純粋でぼんやりしていて「俺が守ってやらなきゃ」って思わせる天然ちゃん。
あー、男の人好きだよねー、こういう女の子。

のんの声は棒読みと言えば棒読みだし、なーんも考えてなさそうな主人公に合っていると言えば合っている。
賛否両論なのはとても納得。

戦時中の呉市を主な舞台とした作品なので色々と痛々しい出来事も起こるのですが、基本的にみんないい人で、すずちゃんは本当に純真で可愛くて、鬱屈を抱えすぎてひねくれた私には終始居心地の悪い映画であった。

レビュー見ると★5つの絶賛の嵐なんだよねぇ。
みんなと一緒に感動できないことに孤独を強くしました。


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機動警察パトレイバー 劇場版 [映画]

イングラムのデッキアップを見たらパトレイバーをまた読みたくなったんだけど、数年前に処分してしまったので、劇場版アニメを観ることにした。



押井守監督ですが、他の作品に比べると押井臭は控えめ。
でもガードロボットの動きは完全にあれだ、攻殻機動隊のタチコマだ。

原作で一番好きだったのは整備班長の榊のオヤジさん。
映画版も渋くてかっこいいぞぉ。

後藤隊長は相変わらずいい味出してます。
こういう、のらりくらりなオッサンだけど実は切れ者っていうキャラクター、たまんないよね。

そして南雲隊長の声はクシャナ殿下と同じだぁ。
この人もやっぱり優秀な女性指揮官で、女を前面に出すことはないけれど美人でどことなく色気がある。
かっこいい~~。

もう一度原作を読みたい気もするし、テレビアニメシリーズとかOVAシリーズとかも観てみたい気がするけれど、とりあえず蒼天航路を片付けてからにします……


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秋のDVD祭り [映画]

​ナウシカと一緒に借りたその他のDVDを簡単にご紹介。

「ミツバチのささやき」



「エル・スール」の良さがさっぱりわからなかったのが残念で、さらに評価の高いこっちならどうだ!? と思って観てみたけれど、やっぱりわからなかった。
この映画の良さを理解できない私の感受性の乏しさをお許しください。。。
しかし主役のアナちゃんは可愛い。めちゃくちゃ可愛い。


「病院坂の首縊りの家」



若き日の草刈正雄が演じる杢太郎がとても良かった。
日本人離れした濃い顔もいいし、生き生きとした演技がとてもいい。
最初に出てくる作家のおじさん、セリフがものすっごい棒読みで誰だこれ、と思っていたら最後にもう一度出てきてようやく気が付いた。
横溝正史本人じゃないか!
それにしてもこのパッケージ、決めのラストシーンをこんなに堂々と使っちゃっていいんですかね……?


「ニューヨークの恋人」



ツッコミどころ満載のハリウッド流タイムトラベル・ラブロマンス。
ヒュー・ジャックマン演じる公爵が白馬で駆けつけてメグ・ライアンが振り向くシーンなんか、ギャグとしてわざとやっているとしか思えないようなベタな演出だが、そこを恥ずかしげもなくあえてやる潔さはきらいじゃない。
二十歳くらいで観ていたら大好きになったかもしれん。


「未知への飛行」



冷戦下の核戦争の恐怖を描いた作品。
ほぼ同じプロットを「博士の異常な愛情」は徹底的に戯画化して描いたが、こちらは愚直なまでに真正直に取り組んだ。
どちらも評価は高いが、私の好みは断然「博士~」の方です。
大切なことは冗談のような口調で、冗談は真面目な口調で、話すのが効果的だと何かで読んだ気がします。
序盤、タカ派の政治学者を謎のセクシー美女が誘惑して「核戦争は美しいわ」とかよくわからん会話をするシーンがあるんだけど、美女はその後に登場せず、何の伏線だったのか、そもそも伏線でもなんでもないサービスシーンだったのか、意味不明。


「海の上のピアニスト」



お行儀よく綺麗にまとめられた映画。
大西洋を航海する船の上で生まれ、一度も船を降りたことがない天才ピアニストの話。
船酔いで苦しむマックスの前に燕尾服で颯爽と現れる1900がステキ。
軽快なワルツに合わせて、遊園地のティーカップのように回るピアノに乗るシーンが秀逸。
原作の小説の方が物語としては濃密だろうと思うけど、映画ならではの音楽との融合を楽しみたい。


でも、まあ、やっぱり、ナウシカだよね。
クシャナ殿下のシーンだけ抜粋して何度も観たよね。


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風の谷のナウシカ(映画) [映画]

8月の長雨でずっと布団が干せなかった。
ついに晴れた日、頭の中でクシャナ殿下の声が聞こえた。

「いま干さずにいつ干すのだ。ゆけ!」

はい、殿下! と答えながら私はベランダへ突撃した。
そして久しぶりに映画版「風の谷のナウシカ」が観たくなった。



いやー、いいね。
やっぱりいいね。
全然古びないね。

映像ももちろんいいんだけど、クシャナ、クロトワ、ユパの声優さん最高だよな。
ていうか、クシャナ殿下好きすぎてどうしようかと思う。

ユパの仲裁に「諫言耳が痛い」と静かに声を発するクシャナ殿下。
クロトワに向かって「ふ、タヌキが」と鼻で笑うクシャナ殿下。
アスベルのガンシップによる攻撃中もまっすぐ前を向いて微動だにしないクシャナ殿下。
燃える船の中でガンシップで脱出しようとするナウシカに向かって(うまくやったな、行け)とでも言うかのように口許をゆがめて笑うクシャナ殿下。
その後、ナウシカに「来い!」と言われて意外そうな顔をするのもいい。そして素早く乗り込む潔さもかっこいい。
総攻撃を前に「私も待ちたいのだ」とナウシカを待つクシャナ殿下。
クロトワの「ほいじゃ待ちますか?」と「何があったか知らねぇが、かわいくなっちゃって、まぁ」も好きだ。
ナウシカの奇跡で王蟲の暴走が止まった後に呆然と横座りするクシャナ殿下も可愛いぞ!

いやあ、きりがないね。

子供の頃の私にとって、ナウシカは映画ではなくてラジオドラマ的なものであった。
映画を観たことはなく、従姉がくれた音声テープをそれこそ100回以上繰り返し聞いていた。
今改めて映画を観て思うのは、脚本と声優さんのすばらしさ。
映像なしの音声だけでも、小学生がストーリーをそれなりに理解できるように作られているというのはすごいことだ。
良質のものは、例え難解であっても子供にも理解できるのである。

映画を観たら今度は原作マンガが読みたくなって引っ張り出した。
これもまた最高に素晴らしいんだよなぁ。グロいけど。

原作のクシャナ殿下についても色々語りたいけど、それはまた別の機会に。
あ、そうそう、これだけは言わせて。
子供たちがナウシカを呼ぶ「姫ねえさま」もいいけど、原作で親衛隊がクシャナを呼ぶ「姫殿下」がたまらなく好きです。



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GWのDVD [映画]

いまさらですが、連休中に観たDVDのことを。
ネタバレありです。


「街の灯」

サイレント映画もチャップリン映画も初めてです。
この時代の映画とはこういうものだったのだなぁ、という感じ。
話はどうということもないが、ラストのチャップリンの笑顔が素晴らしく、じわっとくる。


「博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」

なるほど、これは面白い!
冷戦下の核戦争の恐怖を描いたブラックコメディ。
「皆殺し装置」とか、笑えるけど笑えない。
脚本もダレないで一気に引き込まれる。

それぞれの性格が皮肉たっぷりにデフォルメされているので登場人物のキャラが立っていて実に面白い。
カウボーイな爆撃機の機長、狂信的な基地司令官、マッドサイエンティスト、などなど。
どの登場人物も印象的。
ピーター・セラーズがアメリカ大統領、英国軍将校、Dr. ストレンジラブの一人三役を演じているとは気づかなかった。
後でもう一度見直してみたら確かに同じ顔なんだけど、確固としたキャラが立っていて見事に演じ分けられている。
お見事。

よく訓練された優秀な部隊が任務に忠実であろうと奮闘したことが結果的に「皆殺し装置」作動のきっかけとなってしまったというのがあまりにも皮肉すぎて笑うに笑えない。

おすすめです。


「レザボア・ドッグズ」

十数年前に観たような気もするけれどさっぱり覚えていなくて、もしかしたら観てないのかもしれない。
オープニングのおしゃべりシーンがくだらないけどなんかオシャレで、それがいかにもタランティーノって感じで、そのあと黒スーツの5人が歩いていくシーンもめちゃくちゃカッコよくて、おお、そうだよ、タランティーノってこんなだよ、と思ってワクワクして観ていたらその後は、
流血→暴力→流血→死体→皆殺し
という感じで、そうだった、タランティーノってこういうのだった……と後悔した。

観てらんなくて飛ばしたシーンもあるけど、オープニングの5人のシーンはホントにめちゃくちゃカッコイイからここだけ何度も観たい。
それ以外はもういいです。

かつて勤めていた会社のエキセントリックな上司が「レザボア・ドッグズ」の真似だと言って黒スーツに細い黒ネクタイで現れて、こいつ大丈夫かと思ったけど、やっぱり働きすぎて頭おかしくなってたことを思い出した。


「昼下がりの情事」

レザボア・ドッグズの口直しにハッピーなラブストーリーを、と思って観たんだけど、私にはどうも合わなくてかえってイラッとしたというのが正直なところです。
オードリー・ヘプバーンは文句なしにキュートでファッションもすっごく可愛くて、見てるだけで幸せになれるんだけど、こんなに演技が下手だったっけ……?
永遠の少女って感じの役どころも少々うっとうしく、19才の小娘の男遍歴ホラ話を真に受けて嫉妬する百戦錬磨の大富豪プレイボーイおじさまというのもウソくさく、パリなのにみんな英語しゃべってるし、全体的にとても作り物めいたところが気になる映画だった。
どこにでも付いてくるジプシーの楽団は面白い。

ラスト、男遍歴話がウソだとバレていることも知らずに、強がってホラをふき続ける姿は胸キュンというよりは私にとっては滑稽で、結局、汽車に乗せられて最終的にはNYで結婚するようなのだけれど、満足そうな顔で見送る親父さんに「それでいいのか!? 3年したら娘は泣きながら帰って来るぞ!」と言ってやりたかった。

こういう映画は10代のうちに観ておくべきだと痛感した。
そしてみんな大好きビリー・ワイルダーは私には合わないということがわかった。
「アパートの鍵貸します」も良さがわからなかったものなぁ。


「バタフライ・エフェクト」

まあそれなりに面白いんだけど、このくらいのハリウッド映画はごまんとある。
最善の未来を作り出すために何度も過去に戻ってやり直す、というのはSFによくある話だけれど、それだったら私は断然、萩尾望都の「銀の三角」を推すね。






さらば、我が愛 覇王別姫 [映画]



20数年振りに観ました。
やっぱりすごい映画でした。
初めて観た当時はこの映画の描く世界の濃厚さにノックアウトされましたが、かなりいい歳になった今見ると、レスリー・チャンの切ないほどの美しさにノックアウトされます。

京劇の演目、覇王別姫を演じる人気役者の二人は、幼い頃からほとんど虐待のような厳しい修行に耐えて今の地位を築いた。
舞台を下りても覇王と虞姫のようにいつも二人でいたいと願う蝶衣(美しい名前だ)。
舞台と私生活は別だと考える小樓。
小樓の妻となる元遊女の菊仙(こちらも美しい名前)。
三人の愛憎劇を中心に、激動の中国近代史が描かれます。

少年時代の蝶衣を演じる子役がこれまたよくぞ見つけてきたと感嘆するほどの美しさで、老宦官のグロテスクな淫猥さとの対比が強烈。
京劇のパトロンである袁先生のねちこい視線。
美しい顔をして非情な革命信奉者となる教え子の裏切り。
文革の不可解、などなど。
中国特有の派手な色使いとともにねっとりとした物語が展開されていきます。

日本軍がただの悪逆非道の侵略者としてではなく、むしろ京劇の伝統を理解するジェントルマンとして描かれているのが印象的。
何か興行的な配慮があったのでしょうか……

私はどうしても、報われない愛に生きるしかない蝶衣の切なさに寄り添ってしまうため、小樓を挟んで対立する菊仙に対して、女性の強かないやらしさというものばかりを感じてしまうのだけれど、一人の女が愛する男と普通の家庭を築いて普通の幸せを手に入れたいと願う気持ちは分からなくはない。
阿片の後遺症に苦しむ蝶衣に対して見せる菊仙の母性愛は美しい。
二人の男女が取り合うほどの男かと首を傾げてしまう小樓の平凡さが、ますます虚しさを際立てる。

虞姫を演じるレスリー・チャンの儚げでたおやかで、それでいて熱情を秘めた妖しいほどの美しさは筆舌に尽くしがたい。
幾人もの男を虜にしながらも、愛する男は舞台を下りれば妻のもとへ去ってしまう。
文革によって失われる京劇の伝統。
哀しみを分かち合おうと小樓を訪ねるが、夫婦で慰め合う二人の姿に、蝶衣は雨の中一人帰ってゆく。

3時間という大長編ですが、飽きることなく一気に観てしまいます。
10年後、主演のレスリー・チャンが投身自殺を遂げてしまうことを思うと、また胸に迫るものがあり、両性愛者を公言していた彼の心もまた、何かに引き裂かれていたのかと思わずにはいられません。


力は山を抜き気は世を蓋う

時に利あらず騅ゆかず

騅のゆかざるをいかにすべき

虞や虞や汝をいかにせん



映画連休 [映画]

連休で立て続けに映画のDVDを観ました。
以下、簡単にご紹介。
思いっきりネタバレしますのでお気をつけください。


「裏切りのサーカス」


ジョン・ル・カレの小説「Tinker Tailor Soldier Spy」の映画化。
私は原題をそのままカタカナ読みにした邦題があまり好きではないけれど、このタイトルに関しては、マザーグースを元にした韻を踏んだ原題が断然カッコよく、そのまま「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」にした方がよかったんでないかと思うが如何。

英国秘密諜報部、通称サーカスの幹部にソ連の二重スパイが潜んでいる。
コードネームはティンカー(鋳掛け屋)、テイラー(仕立屋)、ソルジャー(兵隊)、プアマン(貧乏人)。
裏切り者は誰だ。
という、渋くカッコイイ映画。
イギリス人で固めた俳優陣が豪華で、セットや衣装も東西冷戦の時代を表現しつつスタイリッシュ。
カメラワーク、音楽の使い方も素晴らしい。
登場人物が多く物語構成も複雑なため、序盤は置いていかれ気味ですが、そのまま見続けていると人間関係やストーリーの構図がわかってきます。
一度最後まで観た後、きっともう一度最初から観たくなるはず。
007シリーズのような派手さはなくても、おっさんたちの騙し騙されの世界にはまた違った緊張感がある。
出演者の一人が「アメリカ人にはこの映画は難しいかもね」というようなコメントをしたというのが笑える。


「夏至」


青いパパイヤの香り」が大好きで、同じ監督、同じ主演女優ということで観てみました。
東南アジア特有の熱気と湿気の官能美にうっとりします。
壁が少なく開放的な建物、青々とした庭の植物たち。
部屋の中に持ち込まれた睡蓮の水盆、ベッドというよりは牀と呼びたいような寝台、キッチュなインテリアや小物に囲まれた解放感ある部屋。
窓から吹き込む風がベトナム人女性の美しい黒髪を揺らす。

超イケメンな彼氏がいるけれど恋人同士のような雰囲気の兄といる時の方が生き生きとして見える三女、自称(?)小説家の夫とラブラブの次女、夫との間が冷え切っていて他の男と密会を重ねる長女。
ストーリーはあってないようなもの、と言ってしまうと失礼かもしれないけど、見終った後で、だからなんだったんだ、と言いたくなる。しかしそれはどうでもいいのである。
雰囲気を味わう系の映画です。
私はやっぱり「青いパパイヤの香り」の方が好きだね。


「切腹」


新聞か何かで絶賛されていたので観てみました。
たしかにすげぇ映画でした。

1962年の白黒時代映画。
喰いつめ浪人が名門伊井家の門前を訪ね、いっそ腹を切りたいから玄関先を貸してくれと頼む。
実はこれ、近頃横行している強請りたかりの類い。
玄関先で切腹なんぞされては迷惑だから、大抵はなにがしかの金品を与えて追っ払う。
伊井家の家老は、その浪人に対して、しばらく前に同じ口上でやってきた若い浪人の顛末を語って聞かせる。
真実が明らかになるにつれて各人物の見方がガラリと変わっていきます。
最初から最後まで緊張感みなぎる傑作です。

そりゃもう間違いなく傑作なんだけれども……
タイトルからそうなのだから仕方ないのだけれども……
切腹シーンがグロくて見てらんねぇんだよぉーー。
序盤に竹光での切腹を強要されるシーンがあって、しかもなかなか介錯してくれなくて悶え苦しむ、というトラウマになりそうなシーンで、思い出したくもないのに思い出してしまって困っています。
ずっと軽い吐き気を感じながら最後まで観ましたよ。
拷問と切腹のある映画はできれば避けたいものよのぅ。

主演の仲代達矢、伊井家家老役の三國連太郎、敵役の丹波哲郎、紅一点の岩下志麻などなど。
名だたる俳優陣の若かりし日の名演が実に素晴らしい。
グロに免疫のある方はぜひ観てください。
私は2回はいいです。


「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」


映画としては大したことないけどジョン・ローンがステキらしいので観てみた。
チャイナタウンの若きドンとはぐれ警部の対決というよくある感じの話。

たしかに野心家の若きドンを演じるジョン・ローンがめちゃくちゃカッコイイ!
カッコイイというか、美しい。
女性的というわけではないのだけれど、整った顔立ちに気品のある佇まい、どことなく漂う孤独の空気。
ラストエンペラーもそうだけど、滅びの美学がよく似合う。
時折見せる笑顔が思いがけず爽やかで女性の心を鷲掴みです。

一方の主人公がまったく好きになれない。
ベトナム帰りで暑苦しい正義感に燃えた新任警部がチャイナタウンの裏組織の壊滅を目指して戦うのだけれど、自己中心的で周りの話を聞かず、自分の正義を押し付ける主人公にまったく肩入れすることができなかった。
妻との関係はうまくいっていなくて、妻と向き合おうとせずに若い女に乗り換える。
この乗り換えた先の女がまた自分の仕事は市民の正義だと思っているタイプのTVリポーターで、これまたいけ好かない。
あげく、妻はとばっちりでマフィアに殺されてしまって気の毒でならない。
主人公と若い女のロマンスは勝手にやってなさいという感じで、途中からはジョン・ローンが出てくるシーン以外は早送りして観た。
ストーリーは単純なので早送りしても問題はない。
映画としては駄作だけれども、ジョン・ローンのためだけに観る価値はある。


「エル・スール」


「青いパパイヤの香り」を評価している人が絶賛していたので観てみた。
が、私には正直よくわからなかった。
主人公の女の子の特に幼い頃がすごく可愛いし、夜の街の様子などとても雰囲気があっていいのだけれど、見終った後に「……で?」と思ってしまった。
おそらく私の感受性に問題があるのであろう。
人によっては何十回も観ていたり、涙を流したりするらしい。
好みの問題ですかねぇ。



たまには映画も楽しいけれど、私はやっぱり活字メディアが性に合っていると思いました。


ついでに映画の話 [映画]

「天の華・地の風」から想起される映画が2本ある。

一つ目は「エム・バタフライ」。


北京のフランス外交官が京劇女優に溺れていくんだけど、実はその女優はスパイでしかも男だった! という話。
そこまでしていてなぜ男と気付かない!? と観る人すべてがツッコミたくなる大いなる謎を秘めるも、ジョン・ローンの美しさと色気ですべてが許される。
毒々しいラストも含めて、当時中学生だった私には強烈な印象を残した。
江森孔明の実写版ビジュアルはこのジョン・ローンでいける。


もう一つが「さらば、わが愛 覇王別記」。


レスリー・チャン演じる京劇の女形俳優と幼馴染、その妻、という三角関係を、文革の嵐に翻弄される中国を舞台に描く作品……だったような気がする。
文革という背景だけでも強烈だけど、そこに男と女が入り乱れての愛憎劇が繰り広げられて、やっぱり当時中学生だった私には「よくわからんがすごいものを観てしまった」という印象を残した。


レスリー・チャンといえばこんなのもあったよね、と思い出したのが「ブエノスアイレス」。


高校生の時にウォン・カーウァイ監督ファンの友達と一緒に観に行ったと記憶するが、好きなのに傷つけ合うとか、そういうのまだよくわかんないし、なんか知らんけど香港人が南米ブエノスアイレスにいるし、しかもあえてゲイである必然性もわかんないし、という感じで、微妙な雰囲気のなか帰ってきたような気がする。


上記映画でレスリー・チャンの相手役だったトニー・レオンは後に「レッド・クリフ」で周瑜を演じることになる。


ぐるっと回って三国志に戻ってきました。


聖の青春(映画版) [映画]

原作に引き続き、勢いで映画も観てきました。

公開中の映画をくさすのはやや気が引けるのですが、正直に言っちゃっていいすかね?
いいよね?
ものすごく演出がわざとらしくて安っぽい映画でした。
わー、ごめんなさい。

でも師匠の森先生は絶賛してるから、たぶんきっといい映画なのだろう。
そうなんだろう。

だから私はアレコレ申すまい。

映画より、森先生が撮った村山聖の写真が好きです。
こちら



謀議 [映画]

久しぶりに映画を観た。




佐野洋子の「役に立たない日々」の中で、戦闘シーンは一切出てこないけれど、もっとも恐ろしいと思った戦争映画、と紹介されていて興味を持った。


雪の中、湖畔の静かな屋敷にナチスの高官たちが次々と集まってくる。
この極秘の会議で話し合われるのは「ユダヤ人問題」。

会議を招集したハイドリヒの中で、結論はすでに決まっている。
しかし、全員で議論した結果の全会一致の結論、という形にしたい。

あくまで法を守ろうとする者。
ユダヤ人を労働者として使いたいと考える者。
過激な思想に懸念を示す者。

色んな考えの人がいる。
でも、結論はすでに決まっているのだ。
全会一致でその結論に至らなければならない。

個別に圧力を受ける者。
あきらめる者。

「退去」には「殺害」も含まれる。
すでにガス室は建造されていて、実験も済んでいる。
では、そういうことで。

そうして全会一致でユダヤ人の大量虐殺が決定する。


ハイドリヒ長官を演じるケネス・ブラナーがすごい。
笑顔で反対意見を切り捨てる。
笑顔で圧力をかける。
笑顔でとんでもない結論をまとめる。

「金髪の野獣」とあだ名されたラインハルト・ハイドリヒ。
まるで絵にかいたような冷酷非道な悪役参謀である。

外見からしていかにも酷薄そうなんだよー。(ケネス・ブラナーじゃなくて本物の方ね)
wiki情報だけど、女好きがあだとなって海軍をクビになったとか。
最期は占領地において襲撃されてその怪我が元で死んだ、とか。
まるで作られたキャラクターのよう。


会議の結論は確かにおぞましいんだけど、その過程にはさほど恐ろしさを感じなかった。

映画を観る前の私の勝手な予想では……

もともと大量虐殺が決まっていたわけではなくて、でもユダヤ人はなんとかしなきゃいけないよね、くらいの感じだったのが、議論の流れや、ちょっとした言葉の解釈の違いによって、いつの間にか大量虐殺という結論に至ってしまった。

……という感じだと思っていたんだよね。

それって怖--い。
すごーーく怖--い。

そういう恐ろしさを期待していたので、ちょっと期待外れだった。
なんか流れでそうなっちゃった、じゃなくて、結論ありきでねじ伏せた、って形だったから。

しかし考えてみると、私が予想していた会議の流れというのは、実に日本的なものだ。
空気を読む。
周りに合わせる。
そしていつの間にか、誰もが予想していなかった結論に至ってしまう。

ありそーーう。
こわーーい。

そういう映画があったら観てみたいなぁ。


ところで、映画の内容はともかくとして、私はこの映画に違和感があって仕方ない。
それは、
ナチス高官たちが極秘会議で全員英語を話していること。

いや、おかしいでしょ、それ!

この映画はテレビ放映のためにアメリカ・イギリスの共同制作で作られたとのこと。
なので、気持ちは分かる。わかるよ、諸君。

しかしだね、絵的におかしいでしょ。
SSの制服着た人たちが敵性語で極秘会議してるの、なんかおかしいでしょ。

アメリカ人はそういうの気にしないのかなぁ。
気にしないんだろうなぁ。
気にしなさそうだなぁ。。。

「えっ、世界には言葉(=英語)話せない人もいるの?」
……くらい思ってるのかもしれないなぁ。(←ある種の偏見)

やっぱりドイツ人がドイツ人と話すなら、イッヒとかヤーとかシュバルツバルト(?)とか言って欲しいわけですよ。
その点、ドイツ・イタリア・オーストリア共同制作のこの映画はドキュメンタリーのような淡々としたリアリティがあって良かったなぁ。
ヒトラー ~最期の12日間~