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GWのDVD [映画]

いまさらですが、連休中に観たDVDのことを。
ネタバレありです。


「街の灯」

サイレント映画もチャップリン映画も初めてです。
この時代の映画とはこういうものだったのだなぁ、という感じ。
話はどうということもないが、ラストのチャップリンの笑顔が素晴らしく、じわっとくる。


「博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」

なるほど、これは面白い!
冷戦下の核戦争の恐怖を描いたブラックコメディ。
「皆殺し装置」とか、笑えるけど笑えない。
脚本もダレないで一気に引き込まれる。

それぞれの性格が皮肉たっぷりにデフォルメされているので登場人物のキャラが立っていて実に面白い。
カウボーイな爆撃機の機長、狂信的な基地司令官、マッドサイエンティスト、などなど。
どの登場人物も印象的。
ピーター・セラーズがアメリカ大統領、英国軍将校、Dr. ストレンジラブの一人三役を演じているとは気づかなかった。
後でもう一度見直してみたら確かに同じ顔なんだけど、確固としたキャラが立っていて見事に演じ分けられている。
お見事。

よく訓練された優秀な部隊が任務に忠実であろうと奮闘したことが結果的に「皆殺し装置」作動のきっかけとなってしまったというのがあまりにも皮肉すぎて笑うに笑えない。

おすすめです。


「レザボア・ドッグズ」

十数年前に観たような気もするけれどさっぱり覚えていなくて、もしかしたら観てないのかもしれない。
オープニングのおしゃべりシーンがくだらないけどなんかオシャレで、それがいかにもタランティーノって感じで、そのあと黒スーツの5人が歩いていくシーンもめちゃくちゃカッコよくて、おお、そうだよ、タランティーノってこんなだよ、と思ってワクワクして観ていたらその後は、
流血→暴力→流血→死体→皆殺し
という感じで、そうだった、タランティーノってこういうのだった……と後悔した。

観てらんなくて飛ばしたシーンもあるけど、オープニングの5人のシーンはホントにめちゃくちゃカッコイイからここだけ何度も観たい。
それ以外はもういいです。

かつて勤めていた会社のエキセントリックな上司が「レザボア・ドッグズ」の真似だと言って黒スーツに細い黒ネクタイで現れて、こいつ大丈夫かと思ったけど、やっぱり働きすぎて頭おかしくなってたことを思い出した。


「昼下がりの情事」

レザボア・ドッグズの口直しにハッピーなラブストーリーを、と思って観たんだけど、私にはどうも合わなくてかえってイラッとしたというのが正直なところです。
オードリー・ヘプバーンは文句なしにキュートでファッションもすっごく可愛くて、見てるだけで幸せになれるんだけど、こんなに演技が下手だったっけ……?
永遠の少女って感じの役どころも少々うっとうしく、19才の小娘の男遍歴ホラ話を真に受けて嫉妬する百戦錬磨の大富豪プレイボーイおじさまというのもウソくさく、パリなのにみんな英語しゃべってるし、全体的にとても作り物めいたところが気になる映画だった。
どこにでも付いてくるジプシーの楽団は面白い。

ラスト、男遍歴話がウソだとバレていることも知らずに、強がってホラをふき続ける姿は胸キュンというよりは私にとっては滑稽で、結局、汽車に乗せられて最終的にはNYで結婚するようなのだけれど、満足そうな顔で見送る親父さんに「それでいいのか!? 3年したら娘は泣きながら帰って来るぞ!」と言ってやりたかった。

こういう映画は10代のうちに観ておくべきだと痛感した。
そしてみんな大好きビリー・ワイルダーは私には合わないということがわかった。
「アパートの鍵貸します」も良さがわからなかったものなぁ。


「バタフライ・エフェクト」

まあそれなりに面白いんだけど、このくらいのハリウッド映画はごまんとある。
最善の未来を作り出すために何度も過去に戻ってやり直す、というのはSFによくある話だけれど、それだったら私は断然、萩尾望都の「銀の三角」を推すね。






さらば、我が愛 覇王別姫 [映画]



20数年振りに観ました。
やっぱりすごい映画でした。
初めて観た当時はこの映画の描く世界の濃厚さにノックアウトされましたが、かなりいい歳になった今見ると、レスリー・チャンの切ないほどの美しさにノックアウトされます。

京劇の演目、覇王別姫を演じる人気役者の二人は、幼い頃からほとんど虐待のような厳しい修行に耐えて今の地位を築いた。
舞台を下りても覇王と虞姫のようにいつも二人でいたいと願う蝶衣(美しい名前だ)。
舞台と私生活は別だと考える小樓。
小樓の妻となる元遊女の菊仙(こちらも美しい名前)。
三人の愛憎劇を中心に、激動の中国近代史が描かれます。

少年時代の蝶衣を演じる子役がこれまたよくぞ見つけてきたと感嘆するほどの美しさで、老宦官のグロテスクな淫猥さとの対比が強烈。
京劇のパトロンである袁先生のねちこい視線。
美しい顔をして非情な革命信奉者となる教え子の裏切り。
文革の不可解、などなど。
中国特有の派手な色使いとともにねっとりとした物語が展開されていきます。

日本軍がただの悪逆非道の侵略者としてではなく、むしろ京劇の伝統を理解するジェントルマンとして描かれているのが印象的。
何か興行的な配慮があったのでしょうか……

私はどうしても、報われない愛に生きるしかない蝶衣の切なさに寄り添ってしまうため、小樓を挟んで対立する菊仙に対して、女性の強かないやらしさというものばかりを感じてしまうのだけれど、一人の女が愛する男と普通の家庭を築いて普通の幸せを手に入れたいと願う気持ちは分からなくはない。
阿片の後遺症に苦しむ蝶衣に対して見せる菊仙の母性愛は美しい。
二人の男女が取り合うほどの男かと首を傾げてしまう小樓の平凡さが、ますます虚しさを際立てる。

虞姫を演じるレスリー・チャンの儚げでたおやかで、それでいて熱情を秘めた妖しいほどの美しさは筆舌に尽くしがたい。
幾人もの男を虜にしながらも、愛する男は舞台を下りれば妻のもとへ去ってしまう。
文革によって失われる京劇の伝統。
哀しみを分かち合おうと小樓を訪ねるが、夫婦で慰め合う二人の姿に、蝶衣は雨の中一人帰ってゆく。

3時間という大長編ですが、飽きることなく一気に観てしまいます。
10年後、主演のレスリー・チャンが投身自殺を遂げてしまうことを思うと、また胸に迫るものがあり、両性愛者を公言していた彼の心もまた、何かに引き裂かれていたのかと思わずにはいられません。


力は山を抜き気は世を蓋う

時に利あらず騅ゆかず

騅のゆかざるをいかにすべき

虞や虞や汝をいかにせん



映画連休 [映画]

連休で立て続けに映画のDVDを観ました。
以下、簡単にご紹介。
思いっきりネタバレしますのでお気をつけください。


「裏切りのサーカス」


ジョン・ル・カレの小説「Tinker Tailor Soldier Spy」の映画化。
私は原題をそのままカタカナ読みにした邦題があまり好きではないけれど、このタイトルに関しては、マザーグースを元にした韻を踏んだ原題が断然カッコよく、そのまま「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」にした方がよかったんでないかと思うが如何。

英国秘密諜報部、通称サーカスの幹部にソ連の二重スパイが潜んでいる。
コードネームはティンカー(鋳掛け屋)、テイラー(仕立屋)、ソルジャー(兵隊)、プアマン(貧乏人)。
裏切り者は誰だ。
という、渋くカッコイイ映画。
イギリス人で固めた俳優陣が豪華で、セットや衣装も東西冷戦の時代を表現しつつスタイリッシュ。
カメラワーク、音楽の使い方も素晴らしい。
登場人物が多く物語構成も複雑なため、序盤は置いていかれ気味ですが、そのまま見続けていると人間関係やストーリーの構図がわかってきます。
一度最後まで観た後、きっともう一度最初から観たくなるはず。
007シリーズのような派手さはなくても、おっさんたちの騙し騙されの世界にはまた違った緊張感がある。
出演者の一人が「アメリカ人にはこの映画は難しいかもね」というようなコメントをしたというのが笑える。


「夏至」


青いパパイヤの香り」が大好きで、同じ監督、同じ主演女優ということで観てみました。
東南アジア特有の熱気と湿気の官能美にうっとりします。
壁が少なく開放的な建物、青々とした庭の植物たち。
部屋の中に持ち込まれた睡蓮の水盆、ベッドというよりは牀と呼びたいような寝台、キッチュなインテリアや小物に囲まれた解放感ある部屋。
窓から吹き込む風がベトナム人女性の美しい黒髪を揺らす。

超イケメンな彼氏がいるけれど恋人同士のような雰囲気の兄といる時の方が生き生きとして見える三女、自称(?)小説家の夫とラブラブの次女、夫との間が冷え切っていて他の男と密会を重ねる長女。
ストーリーはあってないようなもの、と言ってしまうと失礼かもしれないけど、見終った後で、だからなんだったんだ、と言いたくなる。しかしそれはどうでもいいのである。
雰囲気を味わう系の映画です。
私はやっぱり「青いパパイヤの香り」の方が好きだね。


「切腹」


新聞か何かで絶賛されていたので観てみました。
たしかにすげぇ映画でした。

1962年の白黒時代映画。
喰いつめ浪人が名門伊井家の門前を訪ね、いっそ腹を切りたいから玄関先を貸してくれと頼む。
実はこれ、近頃横行している強請りたかりの類い。
玄関先で切腹なんぞされては迷惑だから、大抵はなにがしかの金品を与えて追っ払う。
伊井家の家老は、その浪人に対して、しばらく前に同じ口上でやってきた若い浪人の顛末を語って聞かせる。
真実が明らかになるにつれて各人物の見方がガラリと変わっていきます。
最初から最後まで緊張感みなぎる傑作です。

そりゃもう間違いなく傑作なんだけれども……
タイトルからそうなのだから仕方ないのだけれども……
切腹シーンがグロくて見てらんねぇんだよぉーー。
序盤に竹光での切腹を強要されるシーンがあって、しかもなかなか介錯してくれなくて悶え苦しむ、というトラウマになりそうなシーンで、思い出したくもないのに思い出してしまって困っています。
ずっと軽い吐き気を感じながら最後まで観ましたよ。
拷問と切腹のある映画はできれば避けたいものよのぅ。

主演の仲代達矢、伊井家家老役の三國連太郎、敵役の丹波哲郎、紅一点の岩下志麻などなど。
名だたる俳優陣の若かりし日の名演が実に素晴らしい。
グロに免疫のある方はぜひ観てください。
私は2回はいいです。


「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」


映画としては大したことないけどジョン・ローンがステキらしいので観てみた。
チャイナタウンの若きドンとはぐれ警部の対決というよくある感じの話。

たしかに野心家の若きドンを演じるジョン・ローンがめちゃくちゃカッコイイ!
カッコイイというか、美しい。
女性的というわけではないのだけれど、整った顔立ちに気品のある佇まい、どことなく漂う孤独の空気。
ラストエンペラーもそうだけど、滅びの美学がよく似合う。
時折見せる笑顔が思いがけず爽やかで女性の心を鷲掴みです。

一方の主人公がまったく好きになれない。
ベトナム帰りで暑苦しい正義感に燃えた新任警部がチャイナタウンの裏組織の壊滅を目指して戦うのだけれど、自己中心的で周りの話を聞かず、自分の正義を押し付ける主人公にまったく肩入れすることができなかった。
妻との関係はうまくいっていなくて、妻と向き合おうとせずに若い女に乗り換える。
この乗り換えた先の女がまた自分の仕事は市民の正義だと思っているタイプのTVリポーターで、これまたいけ好かない。
あげく、妻はとばっちりでマフィアに殺されてしまって気の毒でならない。
主人公と若い女のロマンスは勝手にやってなさいという感じで、途中からはジョン・ローンが出てくるシーン以外は早送りして観た。
ストーリーは単純なので早送りしても問題はない。
映画としては駄作だけれども、ジョン・ローンのためだけに観る価値はある。


「エル・スール」


「青いパパイヤの香り」を評価している人が絶賛していたので観てみた。
が、私には正直よくわからなかった。
主人公の女の子の特に幼い頃がすごく可愛いし、夜の街の様子などとても雰囲気があっていいのだけれど、見終った後に「……で?」と思ってしまった。
おそらく私の感受性に問題があるのであろう。
人によっては何十回も観ていたり、涙を流したりするらしい。
好みの問題ですかねぇ。



たまには映画も楽しいけれど、私はやっぱり活字メディアが性に合っていると思いました。


ついでに映画の話 [映画]

「天の華・地の風」から想起される映画が2本ある。

一つ目は「エム・バタフライ」。


北京のフランス外交官が京劇女優に溺れていくんだけど、実はその女優はスパイでしかも男だった! という話。
そこまでしていてなぜ男と気付かない!? と観る人すべてがツッコミたくなる大いなる謎を秘めるも、ジョン・ローンの美しさと色気ですべてが許される。
毒々しいラストも含めて、当時中学生だった私には強烈な印象を残した。
江森孔明の実写版ビジュアルはこのジョン・ローンでいける。


もう一つが「さらば、わが愛 覇王別記」。


レスリー・チャン演じる京劇の女形俳優と幼馴染、その妻、という三角関係を、文革の嵐に翻弄される中国を舞台に描く作品……だったような気がする。
文革という背景だけでも強烈だけど、そこに男と女が入り乱れての愛憎劇が繰り広げられて、やっぱり当時中学生だった私には「よくわからんがすごいものを観てしまった」という印象を残した。


レスリー・チャンといえばこんなのもあったよね、と思い出したのが「ブエノスアイレス」。


高校生の時にウォン・カーウァイ監督ファンの友達と一緒に観に行ったと記憶するが、好きなのに傷つけ合うとか、そういうのまだよくわかんないし、なんか知らんけど香港人が南米ブエノスアイレスにいるし、しかもあえてゲイである必然性もわかんないし、という感じで、微妙な雰囲気のなか帰ってきたような気がする。


上記映画でレスリー・チャンの相手役だったトニー・レオンは後に「レッド・クリフ」で周瑜を演じることになる。


ぐるっと回って三国志に戻ってきました。


聖の青春(映画版) [映画]

原作に引き続き、勢いで映画も観てきました。

公開中の映画をくさすのはやや気が引けるのですが、正直に言っちゃっていいすかね?
いいよね?
ものすごく演出がわざとらしくて安っぽい映画でした。
わー、ごめんなさい。

でも師匠の森先生は絶賛してるから、たぶんきっといい映画なのだろう。
そうなんだろう。

だから私はアレコレ申すまい。

映画より、森先生が撮った村山聖の写真が好きです。
こちら



謀議 [映画]

久しぶりに映画を観た。




佐野洋子の「役に立たない日々」の中で、戦闘シーンは一切出てこないけれど、もっとも恐ろしいと思った戦争映画、と紹介されていて興味を持った。


雪の中、湖畔の静かな屋敷にナチスの高官たちが次々と集まってくる。
この極秘の会議で話し合われるのは「ユダヤ人問題」。

会議を招集したハイドリヒの中で、結論はすでに決まっている。
しかし、全員で議論した結果の全会一致の結論、という形にしたい。

あくまで法を守ろうとする者。
ユダヤ人を労働者として使いたいと考える者。
過激な思想に懸念を示す者。

色んな考えの人がいる。
でも、結論はすでに決まっているのだ。
全会一致でその結論に至らなければならない。

個別に圧力を受ける者。
あきらめる者。

「退去」には「殺害」も含まれる。
すでにガス室は建造されていて、実験も済んでいる。
では、そういうことで。

そうして全会一致でユダヤ人の大量虐殺が決定する。


ハイドリヒ長官を演じるケネス・ブラナーがすごい。
笑顔で反対意見を切り捨てる。
笑顔で圧力をかける。
笑顔でとんでもない結論をまとめる。

「金髪の野獣」とあだ名されたラインハルト・ハイドリヒ。
まるで絵にかいたような冷酷非道な悪役参謀である。

外見からしていかにも酷薄そうなんだよー。(ケネス・ブラナーじゃなくて本物の方ね)
wiki情報だけど、女好きがあだとなって海軍をクビになったとか。
最期は占領地において襲撃されてその怪我が元で死んだ、とか。
まるで作られたキャラクターのよう。


会議の結論は確かにおぞましいんだけど、その過程にはさほど恐ろしさを感じなかった。

映画を観る前の私の勝手な予想では……

もともと大量虐殺が決まっていたわけではなくて、でもユダヤ人はなんとかしなきゃいけないよね、くらいの感じだったのが、議論の流れや、ちょっとした言葉の解釈の違いによって、いつの間にか大量虐殺という結論に至ってしまった。

……という感じだと思っていたんだよね。

それって怖--い。
すごーーく怖--い。

そういう恐ろしさを期待していたので、ちょっと期待外れだった。
なんか流れでそうなっちゃった、じゃなくて、結論ありきでねじ伏せた、って形だったから。

しかし考えてみると、私が予想していた会議の流れというのは、実に日本的なものだ。
空気を読む。
周りに合わせる。
そしていつの間にか、誰もが予想していなかった結論に至ってしまう。

ありそーーう。
こわーーい。

そういう映画があったら観てみたいなぁ。


ところで、映画の内容はともかくとして、私はこの映画に違和感があって仕方ない。
それは、
ナチス高官たちが極秘会議で全員英語を話していること。

いや、おかしいでしょ、それ!

この映画はテレビ放映のためにアメリカ・イギリスの共同制作で作られたとのこと。
なので、気持ちは分かる。わかるよ、諸君。

しかしだね、絵的におかしいでしょ。
SSの制服着た人たちが敵性語で極秘会議してるの、なんかおかしいでしょ。

アメリカ人はそういうの気にしないのかなぁ。
気にしないんだろうなぁ。
気にしなさそうだなぁ。。。

「えっ、世界には言葉(=英語)話せない人もいるの?」
……くらい思ってるのかもしれないなぁ。(←ある種の偏見)

やっぱりドイツ人がドイツ人と話すなら、イッヒとかヤーとかシュバルツバルト(?)とか言って欲しいわけですよ。
その点、ドイツ・イタリア・オーストリア共同制作のこの映画はドキュメンタリーのような淡々としたリアリティがあって良かったなぁ。
ヒトラー ~最期の12日間~




ライフ・イズ・ビューティフル [映画]

世間では泣ける映画上位にランクインする「ライフ・イズ・ビューティフル」。
さあ、ストレスを涙で洗い流そう、とはりきって観たら、いやあびっくり!

この映画が大好きな方、ネタバレが困る方は、ここから先読まないことをお勧めします。



そもそも私はよく喋る調子のいい男が好きではない。
いくら「楽しくて優しい嘘」であっても、嘘をつくのが上手い人間は信用できない。
そのため、始めから主人公にイラッとしながら観ていた。

主人公はドーラという美しいお嬢さんに恋をする。
ドーラはお金持ちのお嬢様で、小学校教師。
……この時代、お金持ちのお嬢様が小学校教師なんかするかなぁ??
いや、知らんけども。私はこの時代にイタリアに住んでたことないから知らんけれども。

婚約者からドーラを略奪して結婚。可愛い男の子もできました。
幸せな一家でしたが、ファシズムの闇が忍び寄ってきます。
突然、主人公と息子はユダヤ人であるという理由で強制収容所へ連行される。
ドーラも後を追って収容所へ。
息子を心配させないために、主人公は必死に嘘をつきます。
「これから遠足へ行くんだ。行く先は秘密だよ。その方が楽しいだろ?」
収容所へ到着して、主人公は言います。
「これはゲームなんだ。1000点とって一番になったら戦車をもらえるんだ。すごいだろ?」

規則を説明するから分かる奴は通訳しろ、というドイツ兵に、ドイツ語がわからない主人公はそれを買って出る。
そして身振り手振りを真似しながら、息子に対してゲームのルールを説明します。
ママに会いたいと言わないこと。泣かないこと。……などなど。

まあね、これはこれで映画のシーンとしては楽しいかもしれませんよ。
でもねー、無理ありすぎでしょ。
いくらフィクションだからって、ここまでウソくさいと面白いとは思えません。
さすがに気付くでしょ、「アホなドイツ兵」だってさ。

主人公は息子をだまし続け、ドイツ兵に見つからないように隠し続けます。
…そういうことも、もしかしたら、あったかもしれない。
でもねー、私がいくつかの本やマンガで読んだ強制収容所は、4,5歳の男の子を匿い続けることができるような生易しい場所ではなかったですよ。
そもそも、収容された時点で、子供と大人は隔離されるんじゃないかなぁ。

少ない食糧で強制労働させられ、やせ細っていく大人たちを見て、いくら子供でもゲームじゃないってことは分かるはず。
子供って大人が思っている以上に色んなことを敏感に感じ取っています。
この歳の男の子が気付かないはずがない。
これはあまりにも子供をバカにしている。

さらにはドイツ人をもバカにしている。
子供が一人紛れこんでいて、気付かないわけないでしょー。
いくら「アホなドイツ人」であっても。
「あの時代のナチスドイツ兵」をバカにしているのであって、現在のドイツ人をバカにしているつもりはない、って言うかも知れないけど、ドイツ人が見たら気を悪くすると思うなぁ。
あまりにも見え見えなんだよ。
賢いユダヤ人 vs アホなドイツ兵 っていう対比がさぁ。

ついでに言うと、ドイツ軍のマイクを通して、収容所内にいるはずのドーラに向かって
「こんにちは、お姫様」
だの
「ママー」
だの流したら、おそらく犯人を見付けるまで囚人たちを殺し続けますよ、あのナチスドイツ軍は。
そういう場所だったはずですよ。
あまりにもファンタジーすぎる。
これは逆に悲劇に襲われたユダヤ人に対する冒涜にもなるんじゃないか。

そんなこんなで戦争の終わりが近づき、ドイツ軍は証拠等を片付けて逃走を図る。
主人公は息子を隠して「誰もいなくなるまでここに隠れているんだよ。静かになるまで絶対に出てきてはいけない」と言い聞かせて、ドーラを探しに行きます。
ところが運悪くドイツ兵に見つかってしまい、銃殺。

ドイツ兵が去り、囚人たちも消えた静かな収容所で、息子は隠れ場所から出てきます。
向こうから現れたのはピッカピカの戦車。
その中から栄養と自信に充ち溢れた若い兵士が顔を出します。
「Hi, boy! 戦車に乗るかい☆」
出たー、「正義のアメリカ」だ~。

戦車に乗せてもらい、ニッコニコの息子。
親父はいいのか~。
そして移動する元囚人たちの列の中からママを発見。
再会に歓喜する母子二人。
親父はいいのか~。

「父は僕に命を捧げてくれたのだ」
と最後にナレーションが入ってもねぇ……
泣けねーよなぁ……。

人々が一体どこで泣くのかさっぱり分かりません。
ひじょーに残念です。

ベタなお約束たっぷりの「フラガール」ではわかっていても泣けたんだけどなぁ。
おかしいなぁ。


青いパパイヤの香り [映画]

カンボジアに行って来て、なんだか東南アジアが恋しくて、あっちの方の映画が観たくなって、とりあえず録画しておいた「青いパパイヤの香り」を観た。

良い。すごく良いです。
非常に美しい映画です。

青々とした濃い緑。風が吹き抜けることを一番に重視した開放的な建物。
見ているだけで湿度の高い熱気が感じられます。
これよ、これ。こういうのが見たかったのよ。

一人の少女が大人の女性になっていく姿を、ベトナムの官能的な映像美とともに描いた作品です。
この女の子のムイちゃんがかわいいんだ。
彼女は全編を通してほとんどしゃべらないんだけど、ときおり虫やカエルを眺めながらにっこり笑うことがあって、それがもうかわいいの!
彼女の慎ましく心優しい性格を印象付けます。

大人になってからのムイちゃんがまた美しい。
このへんになると、西洋の男が夢見るアジア女性の匂いも漂ってきますが、そこはあえて気付かないふりをして一緒に酔ってみるがよろしい。
逆に、逡巡する主人(顔も物腰も日本の皇族に似てる)の姿はロマンスを求める女性の心を満足させてくれますよ。きゅーん。

ストーリーとしては、言うなれば「ベトナム版マイフェアレディ」です。
そう言うとただのシンデレラストーリーのように聞こえてしまいますが、そうじゃないんだって。
とにかく美しいんだって。
見終わった時に、ほうっとため息をつきたくなります。

セリフで多くを語らない寡黙な映画は好きだ。
静かだけどほどよい緊張感が漂う。
小さな悪意はあるけど悪人はいない。
安心してこの美しい世界にひたってください。
何度も観たくなる映画です。





マーロウとヒトラー [映画]

映画2本。

「ロング・グッドバイ」



みんな大好きチャンドラーってどんなもんなのよ? と思ってハルキ訳で小説の方を読んだことがあるけれど、イマイチ面白さがわからなかった。
主人公のマーロウがいかにもアメリカタイプのタフガイでつまんなかったのよ。
でも映画の方はまたちょっと違うと聞いて、観てみました。
なるほど。こっちの方がキャラクター造形が鮮やかで魅力的。
どこかとぼけていて飄々としていて何考えてるかわからないんだけど、一本筋は通ってる。
ストーリーはやっぱりそれほど面白いと思わなかったんだけど、これはキャラクターの勝利ですね。

「ヒトラー 〜最期の12日間〜」



私の「観るべき映画リスト」にずっと入っていて長いこと観ていなかった作品。
たぶん何かで紹介されているのを読んで「これは観ねばならぬ!」と思ったんだろうけど、それがなんだったのかまったく思い出せない。
一応の主人公らしき秘書の女性はいるんだけど、一人の人間に密着した描き方というよりは、群像劇のような形でナチスドイツの崩壊を描いています。
ドキュメンタリーに近い淡々としたトーン。
戦争を描いたものだからもちろん暗くて悲壮なんだけれども、ラストで少年が川から自転車を引き上げるシーンでは思わず笑顔になること間違いなし。
戦争に翻弄され傷付きながらも、たくましく生きていく少年の姿はまさしく希望の姿です。

DVDのメニュー画面はクラシックなアドベンチャーゲーム(選択肢で物語が進んでいくやつ)の背景のようでちょっとワクワクするよ。
最後にナチス将校たちのその後が短く紹介されるのも、ファイアーエンブレムのエンディングみたいでちょっといいよ。(たいてい拘束されてるけど)

ついでにもう一つ蛇足を付け足すと、あの大戦に関わった主要国の中でやっぱりナチス将校の制服が一番かっこよく見えるんだよなぁ。
もちろん、彼らのしたこととはまったく別の問題ですよ。





女はみんな生きている [映画]

久々にまともな記事を書きますよー。
まあ、このブログの更新を待っているのは姉くらいだと思うけど。
…けめこのために書くよ!

「女はみんな生きている」というフランス映画を観ました。
原題は「CAOS」という、いまいちピンとこないタイトル。
珍しく原題より邦題の方がいい、というパターンです。

まあ、タイトルの通り、女性のお話なんですけれども。
単純に「女性たちよ、自立せよ!」みたいな話ではない。
セリフであからさまに「女とは」「生きるとは」みたいなことを言わない。
淡々とした映像と、ナチュラルな会話の中から、女の強さや、女であることの悲哀をじんわりと立ち上がらせてくる。
といっても、堅苦しい映画ではありません。
全体的に軽やかな印象で、ストーリー展開もスピーディ。
しょうもないんだけど憎めない人々がたくさん出てきます。

最後はまあ一応ハッピーエンドなのかな、という余韻の残る終わり方。
でもね、嫌な感じじゃないのよ。
大きな仕事を終えた後のような気持ちになります。
少しやり残したところはあるけれど、とりあえず終わったぜ!という清々しさを感じるのです。

これを観た後の私の結論としては「やっぱ男より金だな!」でした。
もしかして観るべきじゃなかったかしら・・・?