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読んでいる本、読んだ本、買った本 [本]

「僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意」 池上彰、佐藤優



池上彰とか佐藤優のこの類いの本は、私のようなインテリ気取りの凡人が読む精神的ポルノだと思っているので、もう買うまいと思うのだけれど、つい買ってしまう。
人間とは弱い生き物であることよ。


「猫を抱いた父」 梯久美子



梯久美子さんの最新刊「狂うひと」が大変な評判で、読んだら絶対面白いんだと思うんだけど、三国志を両手いっぱいに抱えている私には今はちょっと手に余るので、かわりにエッセイ集を読んだ。
梯さんのお父さんは元自衛官だそうで、なんだか親近感がわく。
そのお父さんと海外旅行に行った話などが載っている。
母と娘のようにはケンカにならず、リタイアした父と行き遅れの娘という組み合わせは人々の心の琴線に触れるらしく、色々親切にしてもらえるからおすすめだそうだ。
私も行ってみようかしら。


「読書脳 ぼくの深読み300冊の記録」 立花隆



書評本、好きなんだよねー。
書評を読んだだけで読んだ気になれるからね。
これもやっぱり精神的ポルノだね。

ところで立花隆ってもう結構いい歳だと思うんだけど、いまだに女体の神秘とかエロス方面に並々ならぬ関心をお持ちのようで、しかもそれを隠すわけでもなく堂々と書評に出してくるあたり、すげぇな、と思います。


らせん三国志は相変わらず続いていますが、第一走者の吉川版でようやく袁一族が滅ぼされたところです。
今朝は夢に袁紹が出てきました。なぜか蒼天袁紹でした。



らせん三国志 [本]

相変わらず三国志ばかり読んでいます。
複数の三国志を同時並行でぐるぐる回して読んでいるので、話はなかなか先に進みません。
でも比較しながら読むのってすごく面白い。

まず一番手は吉川三国志。
ようやくこれから官渡の戦いで、まだ孔明はコの字も出てきません。

続いて横光三国志。
けっこう忠実に吉川三国志をマンガ化していることがわかった。
これって今の時代だったら「原作:吉川英治」って書くレベルの忠実さだわ。
好きなコマをスクリーンショットで保存して後で眺めてニヤニヤするのも楽しい。

その後を追うのが「蒼天航路」。
横光ではほとんど個人の特定ができない魏の軍師ーズ(荀彧、荀攸、郭嘉、程昱)がきっちりキャラ立ちしていて嬉しい。特に郭嘉のにゃんこ目が可愛くて好き。

そんでもってところどころで白井三国志を挟んで癒される。
ネガティブ魔人の瑾ニイチャン、鬼太郎な夏候惇、だんだん壊れ気味の孔明あたりが特にお気に入りです。

ある程度話が進んだら、折を見てSWEET三国志を入れる。
キャラクターはけっこうメチャクチャなんだけど、実は長大な話をうまいことコンパクトにまとめているあたりが流石。
董卓軍討伐で深追いしすぎた曹操が命からがら逃げ出した後、再会した家臣たちが「殿が生きていた!」と大喜びする場面、どの三国志でも好きな場面ですが、意外にもSWEETが一番ぐっとくる。
ふんどし姿の曹操をみんなで胴上げしてすごく嬉しそうなのがいいんだよー。

できれば「時の地平線」も同時並行で、と思っているのですが、冒頭、徐州での曹操との因縁の場面が終わると一気に時間が進んで、徐庶が荊州の劉備の元へ出仕する話になってしまうので、もうしばらく出番はなさそうです。
ところで、この作品の曹操登場シーン、なんかこういうの昔読んだよなぁ、なんだったかなぁ、としばらく考えて、思い出しました。
「BASARA」の赤の王そっくりです。
その流れでいくと、敵同士であることを知らないまま、曹操と孔明は正体を偽って密かに逢瀬を重ね、いつしか互いにひかれあっていくストーリーになっちゃうんですけど、なにそれちょーウケる! とひとりで面白がっていました。
大丈夫です、たぶんそういう話じゃないです。

こうしてらせん状にグルグル読み進めていって一通り読み終えたら、誰々は○○版が一番好き! みたいなのをやりたいと思っています。すごく楽しみ。
まあ、孔明は間違いなく横光だね。


寒梅忌 [本]

1月26日は藤沢周平の命日で、寒梅忌というらしい。
まだまだ寒さが厳しい中で凛とした花を咲かせる梅の姿は、藤沢周平が描く人物のイメージにとてもよく合う。

初めて読んだのは「蝉しぐれ」だった。
大学の授業で課題図書になっていて、3冊の中から選んだと記憶するが、他の2冊が何だったか、なぜこの作品を選んだのか、さっぱり覚えていない。
課題を出した先生のことはあんまり好きではなかったけれど、藤沢周平を読むきっかけを与えてくれたことには今でも感謝している。
「蝉しぐれ」はおそらく藤沢作品で一番人気があると思うし、私も長篇では一番好きな作品。

短編では「雪明かり」が一番好き。
全体的なトーンは暗くてなんともやるせない話なのだけれど、決して読後感は悪くなく、傷付いた者同士が支え合って世間の片隅でひっそりと暮らす姿が浮かんできて、人が生きることの切なさだけでなく、ほのかな希望や温かさも感じる大好きなお話です。
濡れ場はないのに全編通してしっとりとした色気があるのもいい。

藤沢周平の端正で抑制のきいた文章は、はるか遠くにそびえたつ私の理想でもあります。
久しぶりに読もうかな。


恩田陸さん、おめでとう [本]

​恩田陸さん、直木賞受賞おめでとうございます。
私は直木賞の権威には懐疑的なのだけれど(半年にいっぺんって多すぎじゃね?)、エンタメ小説家にとって直木賞を持っているのと持っていないのとでは色々違ってくるだろうことは理解できる。
だから、好きな作家が受賞したことは素直にめでたい。

恩田陸は好きな作家のひとりではあるけれども、筆頭にあがることはないし、無人島へ持って行きたい本にノミネートされることもない。
にもかかわらず、実はもっとも読んだ作品数が多い作家だったりする。
読書ノートより、読んだ順に、

麦の海に沈む果実
ライオンハート
MAZE
上と外
黒と茶の幻想
Q&A
禁じられた楽園
クレオパトラの夢
蛇行する川のほとり
却尽童女
小説以外
ネクロポリス
中庭の出来事
ドミノ

読書ノート以前にも「六番目の小夜子」「三月は深き紅の淵を」「月の裏側」「ネバーランド」「光の帝国」あたりを読んだ記憶があるので、おそらく20作品は読んでいるんじゃないかと思う。
とはいえ、10年位前のことで、しかも例によって内容をさっぱり覚えていない。

恩田陸はとにかく舞台装置(設定)がすばらしい。
小説が好きな人ほどワクワクするような世界を作り上げてくれる。
場合によっては、大風呂敷ばかり広げて結末があっけない、と思う人もいるようだけれど、そんなこたぁどうだっていいと私は思う。
三島由紀夫も、こじんまりと収まるよりは大風呂敷を広げるだけ広げて収拾がつかなくなる方がいい、と言っていた……はず。

恩田作品の登場人物はちょっとクセがあって、まあ大概がインテリで議論好きなんだけれども、恩田陸ニガテ、という人はおそらくそれに馴染まないんだろうと思う。
かつて同じ職場で働いていた少し年上の友達が、恩田陸の描く女性がニガテだと言っていた。その人の理想は宮本輝の小説に出てくるような女性らしい。
私は宮本輝の女性こそがニガテだったので、なるほど面白いものだと思った。

先日、読売新聞に寄稿された記事を読んだ。
受賞作について書いていて、この作品を書き始めたころは音楽を文章で表すことを無謀だと後悔したそうなのだけれど、書き終えてみれば「なんと音楽と言葉は似ていることか」と思うようになっていたらしい。
奇しくも、最近完読したばかりの「天の華・地の風」の江森備もまた、あとがきで「ピアノを弾くように小説を書こう」と語っている。
江森備は音大出身のピアノ教師とのこと。
以前エッセイで読んだのだけれど、恩田陸もピアノを弾くそうだ。

音楽にあまり造詣が深くない上に、ピアノはバイエルをようやく卒業した頃にとっととやめてしまった私には、ピアノを弾くことと文章を書くことの共通性がわからないのだけれど、小説で奏でる音楽、というものにうっとりするような憧れを感じる。

受賞作の「蜜蜂と遠雷」もきっと面白いだろうからそのうち読んでみようと思います。
たぶん数年後に文庫落ちしたころだろうけどね。


しつこく続くよ三国志 [本]

横光三国志にとりかかりたいところをぐっと我慢して、基本中の基本である吉川三国志をまずは読むことにしました。



色々な版が出ていますが、著作権が消えて青空文庫に入っていますので、いつでもどこでもタダで読める。
劉備の聖人君子ぶりがなにやら新鮮です!

同時に、これまた人気の高い「蒼天航路」を読んでいます。



1巻読んだだけでは「ふうん」くらいだったのですが、2巻、3巻と読み進めていくうちにどんどん面白くなってきた。
せっかくだから全巻読んでやろうじゃないの。

吉川三国志と蒼天航路が片付いたら横光にとりかかる予定。
その後も予定が目白押しです。
以下、自分のための備忘録として。


再放送を見たような気もするけれどあんまり覚えていない人形劇三国志を改めて見たい。
しかしNHKは受信料だけでなくDVDもバカ高い。
おのれ、NHK、足元見やがって。



アニメ横光三国志はオープニングをYoutubeで見たらそれなりに満足した。
孔明の背後の波ざっぱーんと赤いマントの曹操を見たらそれでいい。

小説だと北方三国志なんかも人気がありますが、とりあえずはいいかな、と思っています。
図書館にあるので1冊借りてみてもいいかもね。



あるいは宮城谷三国志。



この作家の本は昔なにかを1冊読んで、あんまり好みじゃなかったことだけ覚えているので、たぶん読むことはないと思われます。

柴錬三国志もあるねー。



なかなかここまで手を出す余裕はなさそうだ。

今とても気になっているのが酒見賢一の「泣き虫弱虫諸葛孔明」。



酒見賢一の本は読んだことがないのだけれど、ファンタジーノベル大賞出身だし、「陋巷に在り」(孔子の弟子である顔回が主役の歴史怪異小説?)を大森望が大絶賛していることもあり、きっと面白いんだと思う。
吉川三国志を読了したあたりで読み始めたい。

孔明マンガの「時の地平線」も面白いらしいね。



近頃、寝ても覚めても三国志です。
十代の頃の第一次三国志ブームと違い、なまじっか金が自由になるのが恐ろしいです。



まだまだ続くよ三国志 [本]

20年ぶりに三国志ブーム到来。

まず真っ先に読みたくなったのが横光三国志だった。
私の頭には完全に横光キャラが刷り込まれていますから。
しかしいまさらコミックス全60巻を揃えるのは勇気がいる。
金に糸目はつけないが、置き場所に困るのよ。
全二十数巻の大型本が今月から順次刊行されるようで、巻末に大人の塗り絵なんかも入るらしく実に魅力なのだけれど、やはり電子版が欲しい。
潮出版さん、できればコミックスの全60巻バージョンで電子化お願いします!
(1/12修正)
eBookJapanでのみコミックス全60巻が電子化されていることを知った。
1巻あたり300円。全60巻で18000円。
これで不朽の名作がいつでもどこでも読めるなら惜しくはない価格である。

図書館に横光三国志が置いてあるんだけれども、かつて私が読んだコミックスはとっくに引退して文庫版に替わっていた。
借りようかと手に取ったものの、文庫版は小さくて読みにくいうえに、長年数多の人々の手垢を吸って小口が黒く変色していて、長時間持っていたくない不穏な雰囲気を醸し出していたのでやめた。

代わりに横光の画を採用している「知識ゼロからの三国志入門」というものを借りてみた。



三国志演義を訳している立間祥介先生著なので内容もしっかりしています。
意外とイケメンな曹操とか、髪型が謎な孔明とか、いつまでも若い玄徳とか、たまらなく魅力的な横光キャラを堪能しながら、すっかり忘れていたあれやこれやを思い出しました。
ちなみに、60年で一巡する暦でいうと、私は司馬懿&龐統と一緒です。

世の中には三国志に関するコンテンツが本に限らず色々あって、多くの人々に愛されている三国志というものは、1800年前から続く膨大な二次創作(および三次創作)の集合体だよなぁ、と感じます。
昔聞いたか読んだ話で、中国人の友人に「三国志が好き」と言ったら「日本人て三国志好きだよね」と言われた、という話があった。
日本の歴史の戦国時代も幕末も人気あるけど、ダントツ一位は三国志なんじゃないかな。
ホントに、なんで日本人てこんなに三国志好きなんだろうね?

そんな疑問に答えてくれるんじゃないかと読んだのがこちら。

「三国志と日本人」 雑喉潤



そのものズバリのタイトルで期待していたのだけれど、「なぜ」日本人は三国志が好きなのか、という謎へのアプローチではなく、「どのように」親しんできたかを論じた本でした。
まあ、これはこれで面白い。

日本書紀に見られる陳寿の三国志の影響から始まって、太平記、江戸文学、明治文学、そして現在の三国志人気の土台となった吉川英治三国志、さらにはコーエーのゲームまで。
さすがに江森三国志については触れられていなかったけれど(でも存在は知っているはず)、陳舜臣の秘本三国志の内容について数ページにわたって書かれていて、例によって私は読んだはずなのにすっかり忘れていて、そういう話だったのか!すげー面白そうじゃん!と新鮮な気持ちで読んだ。

三国志演義と正史の三国志の比較なんかもあって、なかなか面白い。
私は正史の方の三国志はほとんど知らないので、「空城の計」は孔明が仲達を騙すのに使った奇術のような策だと刷り込まれているのだけれど、正史だとあれをやったのは趙雲なんですってね。
シラナカッタナー。
ちなみに江森三国志ではまた独自のアレンジがなされていて、孔明の無意識下の大きな変化を暗示していると深読みもできる、好きなシーンだったりします。


三国志の楽しさの一つにバリエーションの豊かさというものがあると思う。
後漢末期から晋の成立までの、中国の歴史全体から見たらほんのわずかな期間の出来事から派生した膨大なパロディ作品群。そこからさらに様々なコンテンツが派生して無限に広がる三国志の世界。
なんなんでしょうね、この魅力って。
特に日本人が三国志を愛してやまない理由を、日本人の精神構造とか文化から分析した文章があったら読んでみたいなぁ。


読んでいない本について堂々と語る方法 [本]

「読んでいない本について堂々と語る方法」 ピエール・バイヤール



本を読むとはどういうことか、読まないとはどういうことか、本について語るとはどういうことか、について考える本。
面白かったです。
とはいえ、実は読み方にコツがいる。

この本を買ってから著者プロフィールを見て、「しまった、またフランス人の本を買っちゃったよ」とガッカリしたものの、読んでみるとツールの本ほど鼻持ちならない感じもせず、フランス人といっても色々だよなぁ、そうだよなぁ、偏見ごめんね、と読み進めていくうちに、やっぱりうっとうしくなってきた。
引用が多くて説明が長ったらしいのである。

内容としては興味深く、でも読むのはかったるく、どうしたものかとしばらく放置した後、私はこの本の効率的な読み方を体得した。
この本は全体としては冗長なのだけれど、構造は実に明確で、各章(あるいは節)ごとに起承結がある。
この「起」と「結」にあたる部分だけを読んで、長々しい引用と説明の「承」は飛ばしてしまうのである。
これで十分、作者の言いたいことは見えてくる。


教養とは要素のひとつひとつが重要なのではなく、諸要素間の関係の把握、ひいては全体像の把握が重要なのである、という話から始まる。
だから、書物の内容を知っている必要はなく、膨大な書物の位置関係さえわかっていれば良い、ということになる。

まあ、これについてはなるほどなぁ、と思う一方で、一冊の本と格闘することで得られる全体というものもあるよなぁ、とも思う。


作者は、<遮蔽幕(スクリーン)としての書物>とか<内なる書物>といったような独自の用語を用いて、本を読むことと読まないこととの間にあるあいまいさや、われわれがいかに「読みたいように」読むか、といったようなことを説明していきます。
これが面白い。

私たちの記憶にある書物は、さまざまな書物の断片であって、それはその時々の状況や無意識的価値によって不断に再編成されている自己投影である。
それらをとおしてわたしたちは世界を把握しているし、わたしたち自身がその蓄積によって作り上げられているともいえる。

作家は自分の中にある唯一完全の<内なる書物>を形にしようとして書き続け、読者もまた自分の中の<内なる書物>を追い求めて書物を読む。

ここの部分に私はものすごいロマンを感じた。
自分の中に、これまで読んできた本(のみならず、あらゆる経験を含む)の断片の蓄積から形成された唯一の書物があって、それを通して私は世界を見ているし、それによって私は成り立っている。
そしてそれは決して到達できない、私だけの完全なる書物である。

……という、私の捉え方も、私の<内なる書物>からの読み方であって、作者の書こうとしている<内なる書物>とは違うのかもしれない。

作者の結論としては、本を語るということは自分自身を語るということであって、読んだか読んでいないかは問題ではなく、書物を経由して自分自身に至るべし、ということになる。

しかし、そこへ辿り着くには、ある程度の読書経験が必要なんでないかな、というパラドックス。
本を読まないことを推奨していたショーペンハウエルやオスカー・ワイルドは、実は大変な読書家であった。

本を読む、ということのあいまいさについて考えてみたい方はご一読あれ。


2016年読書総括 [本]

私にとって年に一度のお楽しみ、読書まとめです。

まず、2016年に読んだ本は39作でした。
すっくなーーーい!!
ここ10年ぐらいで一番少ないんじゃないかと思う。
全十巻の作品は1とカウントしていたり、流し読みした本はカウントしていなかったりするけど、それにしたって少なすぎる。
本を読むということに疑問を抱いていた時期もあったからなぁ。
最近は、本を読むことは別にいいことでもないけれど、結局今の私にできることのなかで比較的ましなことは本を読むことだけなのだから、それをするしかないじゃないか、という気持ちになっています。

さて、2016年のベスト10は以下の通り。読んだ順です。

新版 自覚と悟りへの道―神経質に悩む人のために」 森田正馬

憂鬱にしろ怒りにしろ、それをなんとかしようとしないで、ただじっと堪えるというのが、結局のところ一番効果的な対処法だということをしみじみと我が身で実感しています。


タイタンの妖女」 カート・ヴォネガット・ジュニア (浅倉久志 訳)

あなたがあなたの意思で行なっていると思っていることは、本当は誰かの何かの目的のためのただの部品の一部なのかもしれない。


日本領サイパン島の一万日」 野村進

良質なノンフィクションは、小説よりもずっとドラマティックで濃厚だ。


失敗の本質―日本軍の組織論的研究」 戸部 良一 他

今更といえば今更なんだけれども、やっぱり読んでおいたほうがいいような気がする。よく引き合いに出されるから。


子供たちとの対話―考えてごらん 」 J. クリシュナムルティ

自分の中の虚しさを、自分以外の何かで満たしたくなったときに、それを押しとどめるためにこの本を読みます。


シンギュラリティは近いー人類が生命を超越するとき」 レイ・カーツワイル

人工知能本を数冊読んで、この本がもっとも急進的であることがわかったけれど、やっぱりきっかけとなったこの本を。人に勧めるなら「人間さまお断り」です。


あけがたにくる人よ」 永瀬清子

詩集が年間ベストに入ったのは初めてではあるまいか。ていうか、そもそも詩集を読まない。


「つながり」の精神病理」 中井久夫

思ったことを片っ端から口にする人にこの本を読ませてやりたい。


「アラビアの夜の種族」 古川日出男

あ、これだけ記事書いてない。他の人が説明すると荒唐無稽になってしまう設定やストーリーを、さもありなんと納得させる古川日出男の力量の素晴らしさ。


私説三国志 天の華・地の風」 江森備

この世界を描き切った作者に対する敬意と、思春期に散らかしたままになっていたこれをようやく片付けたという個人的な事情と、魏延、その愛に。(?)
ていうか、冷静になって改めて考えてみると、本編最終盤と外伝の魏延はちょっといい男にしすぎじゃね? 孔明がああなる一方で、魏延は最後の最後までいい男全開。地獄に堕ちてますます男を上げていく。あの色ボケにそこまでの価値が? ってファンの夜討ちにあいますかね!?
(↑まだ色々言いたい)


来年はせめて50はいきたいなぁ。
恩田陸は年間300冊読むんだって。



天の華・地の風 後半 [本]

予定通り年内に全十巻を読み終えました。
うーん……ううーーん……。
まあ間違っても読後感のいい話ではない。
手放しで読んでよかったとは思えないけれど、20年近く前に放り出したことの始末をつけられたのはよかったと思う。

六巻以降、覚悟していたほど陰鬱にはならず、むしろ魏延がますます優しくなっていって、「イイ男でねーの!」とそれがし感嘆いたした。
一方の孔明は意外とポカ続きで「ホントに天才軍師?」と疑いたくなってくる。
オリジナルの三国志でもこんなもんだったっけ??

そんなこんなで七、八と読み進めて、いよいよ本篇の最終巻としての九巻です。
最期、五丈原で命を落とすことは間違いないので、かなり厚い光風社版の九巻を時折閉じて残りページの割合を確認しつつ、おお、丞相のお命も残りこれほどまでに……と思いながら進む。
ここでラストへ向かって行く大きな転機が二つ待ち構えているのだけれど、私は迂闊にもそれを某所のレビューで読んでしまっていた。
できればそれは知らずにまっさらな状態で読みたかったなぁ。無念。

まあ、それはともかくとして。
急転直下、丞相は奈落の底へと転落していきます。
それはもう悲惨としか言いようがない。あるいは醜悪。
できればこんな姿は見たくなかった、と思う。
これほどまでに容赦のない過酷な人生を、自分が生み出した主人公に担わせることができる作者はプロフェッショナルだと思った。

最後、魏延の家臣である朱蘭のセリフは私の願いでもあった。
「お願い申す。わがあるじと丞相の上に、どうかひとときの平安を。」
結局、それすらも叶わないのだけれども。。。

それにしても魏延がめちゃくちゃイイ男!
反骨の相を持っていると言われて本当に謀反しちゃったあの人と同一人物とは思えないね!
いや、まあ、同一人物じゃないんだけども。
オリジナルと比べて、もっとも名誉を回復したおいしい役は間違いなく魏延だと思う。
これ読んで魏延びいきにならない人はいないと思うわ。

一方で一番ひどい役回りが姜維ね。これはもう本当にひどい。
それから徐庶もひどい。まさかのひどさ。

意外とおいしいのが諸葛瑾。演義だと華々しい才能を持つ弟と凡庸な兄、という対比になってしまうのだけれども、江森三国志ではなかなか味のある役回り。終盤まで登場します。
決して徳高い高潔な人というわけでもないが、さりとて情のない人でもなく、全てを知った上で、己の罪も背負った上で、弟を陰ながら気にかける抑えめながらも小憎い役。

それから最後の頃の仲達もなかなかいい。
彼もまた、己の中に様々なものを飲み込みながら、慎重に、油断なく、しかし人の情を理解する柔軟さも失わない、そういう懐の深い人物として描かれる。

関羽の未亡人である貂蝉の晩年の姿もいい。
戦乱の世で権力が移り変わるその中心で、様々なものを見て、聞いて、経験して、そうして気品と情に溢れた美しい老女となった。

江森三国志のオリジナルキャラクターである棐妹は私にとってもっとも気になる存在。
物語の冒頭から登場する彼女は、孔明を守り、愛し、傷付けられ、目を背けたくなるような苦痛を幾度もその身に受けて、孔明を憎み、それでも愛した。
棐妹と魏延の組み合わせが割と好き。2人は孔明を挟んでお互いを信頼し、通じ合っているところがある。
外伝を読むと、孔明と魏延の死後、3年して棐妹もまた死ぬようなのだけれど、彼女の晩年はどのようなものだったのだろうか。そしてその心境は。
男ばかりの世界で特異な存在感を持った、目の離せない女性でした。

このやるせない虚無感にしばし身を浸しているのも悪くないけれど、反動で、鼻にピロピロをつけた孔明が読みたくなった。













天の華・地の風 前半 [本]

20年の時を経て、ついにこの時がきた。
「私説三国志 天の華・地の風」を全巻読み通す時が!

私の三国志遍歴はこちらの記事をご参照いただくとして、かつて若かりし日に挫折した、江森備の大作をついに読み通す決心をしたのです。
なんかこう、ガツンとくる小説が読みたくなったんだよね。

以下、若干のネタバレを含みますのでご注意ください。

去年の年末断捨離祭りで、長年手に取ることなく放置されカビ臭くなったハードカバーの9冊を処分しようかと思ったのだけれど、表紙の孔明に

「ならぬ。いずれまた汝と相まみえる時が来よう。今捨てるべきではない。」

と言われて取っておいて正解でした。
復刊ドットコムで再版されていますが、サイズが小さくなってソフトカバーになっている上に価格が倍以上にはねあがっている。
やはり孔明は正しかった。

ものすごく乱暴に説明すると、超絶美貌の天才軍師・諸葛亮孔明が男たちを手玉に取って権謀術数の闇の中で理性と野心と情欲の狭間で生き抜く話です。わー、すごい。
話題性として男色部分に注目されがちですが、改めて読んでみると色恋沙汰(というような生っちょろいものではなくて、謀略を発端とした泥沼愛欲関係)部分の記述はせいぜい2割程度で、残りの8割はひたすら政争と軍略に明け暮れる硬派な作品です。
本格歴史小説として十分通用する質の高さ。
その上、孔明が美貌と肉体で男たちを虜にするという、これだけ聞くとギャグになってしまう話を、格調高いお耽美小説として読者に「さもありなん」と飲み込ませてしまう確かな文章力。
ほぼ凌辱にも関わらず、これほど気品ある濡れ場を私は知らない。
思春期に読んだ時にも「すげー話だな」と思ったけれど、あちこち錆びついてきた今読んでもやっぱりすげー話です。

現在、折り返し地点の5巻をほぼ読み終えたところなのですが、この巻が最も華やかでドラマチックなんじゃないかと思う。
異国の奇怪な風土や風習のなか進む南蛮征伐はどことなくファンタジー小説の趣があり、孔明と魏延のハネムーン温泉旅行らしきシーンもあり(妄想90%)、孔明の元内縁の妻も再登場して、男と女が入り乱れての愛憎劇。
その中心となる孔明は齢四十を超えていまだ美貌にかげりすら見えない金の孔雀。
いやー、すごい。

せっかくなので5巻までの美麗な表紙を並べておきます。









そしてこれ以降、私のおぼろげな記憶と各所のレビューによると、物語はさらに陰惨になっていく……。
しかし私は今度こそ最後まで読み切ろうと思う。
それもできれば年内に!
年明け早々、五丈原はイヤだもの。
武運を祈っていてください。