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風の谷のナウシカ(原作) [本]



睡眠時間を削って全7巻を改めて読了。
本当に圧倒的な作品です。

初めて最後まで読んだときはそのグロさにノックアウトされてしまいましたが、今回はもっと一人一人の登場人物にフォーカスして読めたような気がします。
それぞれの人がそれぞれの論理に従って動き、それによって悲劇や衝突が起こるのですが、ホラー映画なんかでよくあるように「なんでわざわざそっち行くかなぁ!」というようなイラッとする行動が一つもないところが素晴らしい。
その行為に賛同できるかどうかは別として、その人なりの合理性は理解できるのです。

原作ではもう一人のヒロインとして活躍されるクシャナ殿下の美しくも凛々しいお姿がやはり光ります。
好きなシーンはたくさんありますが、一番好きなのは蟲の大群から逃げて壕の中でやり過ごす場面。
蟲たちによる大殺戮が行われている中でのクロトワの名台詞「クシャナが歌ってやがる!?」です。
怯えてすがりつく兵士たちを抱きかかえるようにして、クシャナ殿下は一人、子守歌を歌っているのであります。
その姿を見た時、そうか、ナウシカだけでなく、クシャナもまた兵士たちにとっての聖女であり慈母なのだ、と思いました。
美しく、気高く、部下たちを愛し、自ら突撃の先頭に立つ姫殿下。
豊かな長い髪を惜しげもなく手向け、死んでいった部下たちのためにひっそりと涙を流す「トルメキアの白い魔女」。
そりゃあ命を捧げて従いたくなります。

映画のクシャナとクロトワもいいけど、原作はもっといい。
なんだかんだ言ってもクシャナのために働き、いざという時はしっかり殿下をお守りするクロトワ。
「顔もイイが頭もイイ、かわいいぜ、クシャナ」や「ウホッ、イイにおい」、「次はヨロイなしでだきたいねぇ」などなど、皮肉まじりではあるものの、女として見ているクロトワに対して、毛ほども男として見ていないクシャナ殿下がまたステキ。
でも部下としてちゃんと大事にしていることはわかります。
瀕死のクロトワを見捨てずに背負って逃げる!
大の男を背負って走るって、どんなお姫様ですか、殿下!?
そして重傷のクロトワに手ずから水を飲ませる。なんとお優しい、殿下!
ちなみにクロトワ27歳、殿下25歳だそうです。
年齢的にはお似合いですが、さて、その後どうなりましたことやら。

クシャナのもう一人の男(?)、皇兄ナムリスとのやりとりも好きだ。

クシャナ「ムコ殿の素顔を見せよ」
ナムリス「ヒヒ...ふしどを共にするまでの楽しみにしておけ」
クシャナ「牙をむく毒蛇の巣穴に裸で踏み込めるかな?」
ナムリス「それでこそわが血まみれの花嫁だ。憎悪と敵意こそ真の尊敬を生む源となろう。二人してたそがれの王国を築こうではないか」

毒々しい会話なのに、どことなくスパイシーなロマンスを感じるのは私の頭が腐海の毒に侵されているからでしょうか!?

体がちぎれて首だけになったナムリスをひっつかむクシャナ殿下もステキだが、「 ひでぇ女房だ」とぼやくナムリスがだんだん好きになってくる。
「ウハッ 亭主の首を放り投げやがった」に至っては可愛さすら感じます。
これほど「女房」「亭主」という言葉が似合わない二人もいないと思うのですが。。。

うーん、やっぱりキリがない。

クシャナを見ていると、三国志の曹操が重なります。
戦では容赦がないが、内部的には善政をしくあたりとか。
魏王にまでは上ったが決して皇帝にはならなかった曹操と、先王から正式に王位を継承したものの生涯、代王のままだったクシャナ。
トルメキアが魏なら、風の谷を含む辺境地帯は蜀でしょうか。
土鬼が呉って感じはしないけど、圧倒的ヒーローがいない点では呉っぽいとも言える。

ところで「私は王にはならぬ、すでに新しい王を持っている」というクシャナのセリフの真意は何なのでしょうか?
新しい王って誰?
ナウシカってことも考えられるけど、ナウシカの思想と「王」という立場は相容れない気がするんだな。
それぞれの解釈があっていいのだと思いますが、私は「この星の命の総体」を王として、その代理人として政治を行う、の意味ととりたい。

代王としてのクシャナ殿下の麗しきお姿を一目見てみたいものです。



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