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百年文庫 憧 [本]



百年文庫全100冊制覇プロジェクトを始めました。
ポプラ社から出ている装幀の綺麗なふと気軽に手に取れそうなシリーズです。
1冊に3人ずつ、国内外の文豪の作品が収められていて、これを全部読めば計300人の文豪について「読んだことがある!」と自慢できます。
ちょっとワクワクするでしょ?

それぞれに漢字一文字のタイトルがついていて、1冊目は「憧」。
収録されている作品と感想は以下のとおり。

「女生徒」 太宰治

14歳の少女の何でもない一日を一人称で綴った作品。
面白いなーと思うところもあるし、ほとばしる才能を感じるんだけど、私が太宰作品を読んで思うのはいつも同じで、最終的には「めんどくせーやつだな」に落ち着くのだった。
これはもう相性の問題だから仕方ないと思うの。

ここはいいな、と思った箇所が二つ。

P32 なぜ私たちは、自分だけで満足し、自分だけを一生愛して行けないのだろう。

P82 明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。


「ドニイズ」 レイモン・ラディゲ

パリの若者が田舎の娘に恋をする話なんだけど、全然さわやかではない。だいぶ爛れている。
私としては、ああそうですか、としか……
全裸で休んでいるときに葡萄の葉の代わりに読みさしの本を使うくだりは面白かった。


「幾度目かの最期」 久坂葉子

初めて知った作家です。
財閥のお嬢様で早熟な天才少女だったそうです。
外から見れば何もかも持っている幸せなお嬢様ですが、本人はずっと生きづらさを抱えていたらしい。
21歳で自殺しますが、その直前に書かれた遺書のような作品。
3人の男とくっついたりはなれたりして、でも結局救われなくて、最終的に自殺を決意する話。
本当に実際のことをそのまま書いたのか、そのまま書いた体裁の創作なのかは知らないが、いずれにしても「好きにしてくれ」と思った。
速達、電報、喫茶店の電話での呼び出しなど、当時の恋人たちの通信手段はスマホ時代の今から見るととてもドラマチックね。


3作品に共通するのは早熟早世天才文学であること。
私がこれに共感する豊かな感性を持ち合わせていないからそう思うのかもしれないけど、これを「めんどくせぇ」と思わずに読める人はそんなにいないんじゃないかなぁ、と思うんですがどうでしょうか。
ましてやこれが図書館のヤングアダルトの棚にあって、本好きなヤングアダルトが生真面目に1巻目から読もうと手に取って、いきなりこれをくらって挫折する確率が高いんじゃないかなぁ、と思うんですがどうでしょうか。

装幀にこだわった本づくりといい、ラインナップといい、文学への入り口というよりは通向けの趣味の本という印象のこのシリーズです。
ちなみに私が読んだことがあるのは、たぶん読んだはずだけど忘れた、も含めてたったの6話!
読んだことがある作家は300人中たったの(推定)48人!

読書ってのはな、数読めばいいってもんじゃないんだぜ、お嬢ちゃん。
ふっ……
とニヒルと気取りつつ、せっせと読みそうな気がします。

そしてここではたと気付いたのですが、これらの作品ってたぶんそのほとんどが著作権が切れている。
それらをちょっといい感じに編纂して、オシャレな装幀をほどこして、一冊810円で売る商売のあざとさがさすがポプラ社だと思った。



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