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謀議 [映画]

久しぶりに映画を観た。




佐野洋子の「役に立たない日々」の中で、戦闘シーンは一切出てこないけれど、もっとも恐ろしいと思った戦争映画、と紹介されていて興味を持った。


雪の中、湖畔の静かな屋敷にナチスの高官たちが次々と集まってくる。
この極秘の会議で話し合われるのは「ユダヤ人問題」。

会議を招集したハイドリヒの中で、結論はすでに決まっている。
しかし、全員で議論した結果の全会一致の結論、という形にしたい。

あくまで法を守ろうとする者。
ユダヤ人を労働者として使いたいと考える者。
過激な思想に懸念を示す者。

色んな考えの人がいる。
でも、結論はすでに決まっているのだ。
全会一致でその結論に至らなければならない。

個別に圧力を受ける者。
あきらめる者。

「退去」には「殺害」も含まれる。
すでにガス室は建造されていて、実験も済んでいる。
では、そういうことで。

そうして全会一致でユダヤ人の大量虐殺が決定する。


ハイドリヒ長官を演じるケネス・ブラナーがすごい。
笑顔で反対意見を切り捨てる。
笑顔で圧力をかける。
笑顔でとんでもない結論をまとめる。

「金髪の野獣」とあだ名されたラインハルト・ハイドリヒ。
まるで絵にかいたような冷酷非道な悪役参謀である。

外見からしていかにも酷薄そうなんだよー。(ケネス・ブラナーじゃなくて本物の方ね)
wiki情報だけど、女好きがあだとなって海軍をクビになったとか。
最期は占領地において襲撃されてその怪我が元で死んだ、とか。
まるで作られたキャラクターのよう。


会議の結論は確かにおぞましいんだけど、その過程にはさほど恐ろしさを感じなかった。

映画を観る前の私の勝手な予想では……

もともと大量虐殺が決まっていたわけではなくて、でもユダヤ人はなんとかしなきゃいけないよね、くらいの感じだったのが、議論の流れや、ちょっとした言葉の解釈の違いによって、いつの間にか大量虐殺という結論に至ってしまった。

……という感じだと思っていたんだよね。

それって怖--い。
すごーーく怖--い。

そういう恐ろしさを期待していたので、ちょっと期待外れだった。
なんか流れでそうなっちゃった、じゃなくて、結論ありきでねじ伏せた、って形だったから。

しかし考えてみると、私が予想していた会議の流れというのは、実に日本的なものだ。
空気を読む。
周りに合わせる。
そしていつの間にか、誰もが予想していなかった結論に至ってしまう。

ありそーーう。
こわーーい。

そういう映画があったら観てみたいなぁ。


ところで、映画の内容はともかくとして、私はこの映画に違和感があって仕方ない。
それは、
ナチス高官たちが極秘会議で全員英語を話していること。

いや、おかしいでしょ、それ!

この映画はテレビ放映のためにアメリカ・イギリスの共同制作で作られたとのこと。
なので、気持ちは分かる。わかるよ、諸君。

しかしだね、絵的におかしいでしょ。
SSの制服着た人たちが敵性語で極秘会議してるの、なんかおかしいでしょ。

アメリカ人はそういうの気にしないのかなぁ。
気にしないんだろうなぁ。
気にしなさそうだなぁ。。。

「えっ、世界には言葉(=英語)話せない人もいるの?」
……くらい思ってるのかもしれないなぁ。(←ある種の偏見)

やっぱりドイツ人がドイツ人と話すなら、イッヒとかヤーとかシュバルツバルト(?)とか言って欲しいわけですよ。
その点、ドイツ・イタリア・オーストリア共同制作のこの映画はドキュメンタリーのような淡々としたリアリティがあって良かったなぁ。
ヒトラー ~最期の12日間~




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コメント 3

けめこ

こわーい。
戦争ものはあとに必ず何か残ってしまうので
見ないことにしているのですが。。。
なんでかみちゃうときもある。

言語については私も同意見です。
三国志も英語だったしな。
ドイツ語のほうが迫力はあったでしょう。
by けめこ (2015-07-03 16:05) 

けめこ

追記

ご本人のお顔を拝見。
品はあるのだが・・・。

なにが彼をそう見せるのか。

by けめこ (2015-07-03 16:10) 

若隠居

こわーいよねー。

グロい戦闘シーンは苦手だけど、軍上層部の愚かさとかを描いたものは好きです。
なぜ人はそこへ至ってしまうのか、とか考えるのが好きです。
でも、戦争に翻弄される市井の人々の悲哀は辛すぎて観られません。

誤解を恐れずにあえて言うと、ナチス高官はキャラが立っている人々が多いので、ハマる人がいるのはなんだか分かる気がします……。

三国志が英語なのはもっと違和感あるねーー。

by 若隠居 (2015-07-03 16:55) 

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